AIに方言教えっべ 西川町、お年寄りの端末活用念頭に先生役オーディション

町民の代表らが山形弁で文章を読み上げたオーディション=西川町役場

 県内で最も高齢化率が高い西川町は、お年寄りらの健康増進のため、専用アプリを使うためのタブレット端末の全戸配布を予定している。内蔵の人工知能(AI)に話しかけて使うアプリだが、課題は方言対応。標準語には反応するが、地元の山形弁に応えてくれるかは不透明だ。町は18日、AIに地元の言葉を吹き込み、学習させるため、方言指導の先生役オーディションを開催した。

 同町は全体の4割弱を占める約650世帯が65歳以上の高齢世帯だ。町民の健康寿命を延ばすため、アプリの導入を決めた。町と包括連携協定を結んだクリエイターズネクスト(東京都)が開発を担当している。使用者の生活習慣に合わせた運動プログラムを提供し、運動を促したり、アドバイスを得たりする際、話しかける必要がある。

 オーディションは町役場と社員が審査員となる同社をつなぎ、オンライン方式で行った。50~80代の山形弁“ネーティブスピーカー”の男女17人が参加した。用意された文章を読む形式で、標準語でのお題は「血圧は健康のバロメーターとして重要である」と「1週間して、そのニュースは本当になった」の二つだ。

 「けづあづは健康の目安として大事だのったなー」「1週間すてみだらよ、ほのニュースほんてぇなってすまった」。参加者が普段通りの話し方で読み上げた。審査のポイントは、地元の人が使う山形弁で、くせが強くなく、自然で標準的ななまりであること。今後、学習用の例文を吹き込むAIの先生役として、複数人を選ぶ。採用されると、計8時間ほど方言指導として録音に協力する。

 参加した伊藤正昭さん(81)=吉川=は「方言を理解してくれるサービスはありがたい。いざマイクに向かって話すのは難しかった」と話した。事業費は約9500万円で、国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用。町は山形弁を習得させた後、音声による身近な施策提言や困り事の意見集約などでも利用する方針だ。

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