九州大雨、文化財被害15件 3県で、古墳ひび割れなど

大雨で欄干の一部が流失した国重要文化財の「耶馬渓橋」=11日、大分県中津市(共同通信社ヘリから)

 6月末からの九州北部の大雨で被害を受けた文化財が、福岡、佐賀、大分の3県で少なくとも15件あることが19日、文化庁への取材で分かった。複数の古墳や国の重要文化財の庄屋住宅などで浸水や崩落といった被害が確認され、国や地元自治体が全容把握を急いでいる。

 文化庁によると、18日時点で福岡は7件、大分5件、佐賀3件だった。九州には4世紀末から7世紀ごろに造られ、石室などに模様が描かれた「装飾古墳」が点在することが知られる。福岡県筑前町の仙道古墳(円墳)では石室内部の壁や床から水が湧き出て、墳丘にはひび割れができた。

 同県うきは市では塚花塚古墳(円墳)や重定古墳(前方後円墳)で石室内に浸水があり、関係者からは装飾壁画への影響を懸念する声も上がる。

 同県みやこ町で、江戸時代に建てられた庄屋住宅の永沼家住宅(国重文)では、隣接する裏山の一部が崩れ、押し寄せた土砂が基礎部を覆った。

 大分県中津市では、現存の石造りアーチ橋では国内で最も長いとされる「耶馬渓橋」(国重文)の欄干の一部が流失した。

墳丘が崩れた「塚堂古墳」=10日、福岡県うきは市(同市教育委員会提供)

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