トリドールHD社長「今も閑古鳥が鳴いていた頃を夢に見る」 兵庫・加古川の観光大使就任、出店秘話など語る

加古川市での創業当初の苦労を語るトリドールホールディングス社長兼CEOの粟田貴也さん=加古川市加古川町溝之口

 トリドールホールディングス(東京)社長で兵庫県加古川市出身の粟田貴也さん(61)が18日、加古川観光大使に就任し、加古川プラザホテル(加古川町溝之口)でトークイベントに出演した。1985年にJR加古川駅前に居酒屋「トリドール三番館」を開き、2000年にはうどん店「丸亀製麺」1号店を市内に開業。「加古川で実績を積んだのが、全国展開する勇気になった。地元に応援してもらい励みになった」と話した。

■「3軒持ちたい」から国内外で1800店に

 粟田さんは同市立平岡小、平岡中を経て、加古川東高校を卒業。同社は現在、丸亀製麺など約1800店を国内外で展開している。

 23歳で同駅前にオープンした居酒屋は、「店を3軒持ちたい。その夢を忘れない」との思いを込めて、「三番館」と名付けたことを紹介。客がほとんど来ない日もあったが、当時少なかった深夜営業にしてから繁盛したことを振り返った。

 丸亀製麺の創業は、父の出身地の香川県で、製麺所に行った時に着想を得たと説明。客の目の前でうどんを作り、出来たてを提供していたことから、「商品だけではなく、体験する価値を売れば、繁盛するんじゃないかと思った」と出店秘話を明かした。

 粟田さんは「いまだに創業期の閑古鳥が鳴いていた時のことは、夢に見る。そこからの脱出のために、やはり(他店との)明確な差別化というのが自分の中のテーマ」と説明。「信条は『飽くなき成長』。目標を諦めない、夢を止めないというのが、きょうまでの一貫した思い」と語った。

 同社はこの日、同市と包括連携協定も結んだ。(斉藤正志)

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