23年上半期県内倒産 5年ぶり50件超 コロナ融資返済影響か

 東京商工リサーチ宇都宮支店が18日までに発表した2023年上半期(1~6月)の県内企業倒産整理状況(負債総額1千万円以上)によると、倒産件数は前年同期比4件増の51件で、5年ぶりに50件を超えた。うち新型コロナウイルス関連の倒産は10件増の26件と半数を占めた。コロナで打撃を受けた経営が回復しない中、コロナ関係融資の返済が始まった企業が多かったのが要因とみられる。

 負債総額は全体で27.9%増の59億3300万円。負債額が10億円を超える大型倒産はなく、1千万円以上5千万円未満の小規模倒産が26件と目立った。上半期としては平成(1989年)以降、7番目に少ない水準だった。

 業種別では、「サービス業他」が18件で最も多く、建設業が9件と続いた。原因別は「販売不振」が37件で最多。形態別では「破産」が47件に上った。

 負債額が最大だったのは、婦人服販売のてまりや(足利市)で約9億9100万円、原因は販売不振だった。

 今後について同支店は、政府がコロナ対応で進めた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの返済や原材料費高騰などの影響を踏まえ、「既に限界まで体力をすり減らしている企業が一定数存在すると考えられ、中小・零細企業を中心に企業倒産が増加してもおかしくない」としている。

 6月単月は、倒産件数が前年同月比3件増の11件、負債総額は1.2%減の4億9400万円。大型倒産は9カ月連続で発生しなかった。

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