地震に負けぬ燈籠山に 20日祭り開幕 クラウドファンディング寄付の3人招待

人形を載せて組み上がった燈籠山=珠洲市の飯田わくわく広場

 20日に珠洲市飯田町で開幕する市無形民俗文化財「燈籠山(とろやま)祭り」を前に、同町の春日神社で19日、前夜祭が営まれ、関係者が祭りの成功を祈願した。当日は地震で倒壊した鳥居再建の際に、クラウドファンディング(CF)で寄付をした人が招待され、祭りで燈籠山を引く。住民たちは5月の最大震度6強の地震に負けない心意気を披露しようと本番を心待ちにした。

 前夜祭では、氏子総代3人が参加し、無病息災や地震終息などを願った。葛原秀史宮司(55)は「ようやくこの日を迎えることができてうれしい気持ちでいっぱいだ」と話した。

 燈籠山祭りは春日神社の祭礼(おすずみ祭り)に合わせて行われ、重さ約5トンの燈籠山と地元8町の曳山(ひきやま)計9基が町内を練る。祭り最大の呼び物である燈籠山は巨大な人形を車輪付きの山車(やま)に取り付けて巡行する。

 19日は午前6時から男衆約30人が飯田わくわく広場で燈籠山の台座を組み上げ、江戸時代の火消しをモチーフとした高さ約6メートルの人形をクレーンで山車に載せた。

 昨年6月の震度6弱の地震で倒壊した鳥居再建に向けたCFで、10万円以上を寄付した3人が返礼として金沢や東京から招待される。20日午後に祭礼委員会の案内で燈籠山を引く体験をしてもらう。

  ●北國花火も彩り

 祭りは2日間の日程で、20日は午前に燈籠山と曳山のおはらいが行われる。午後1時から神社で榊神輿(さかきみこし)の神(かみ)遷(うつ)しと鳥居竣工(しゅんこう)祭を営み、終了後に燈籠山や曳山が神社を出発する。午後8時からは飯田港で北國花火珠洲大会(北國新聞社主催)が行われ、光の大輪が吾妻(あづま)橋に勢ぞろいした燈籠山や曳山を鮮やかに彩る。21日は引き続き、曳山が町内を巡行する。

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