有害図書を入れる「白ポスト」、本の回収量が年々減少 成人向けDVDは高止まり 兵庫・三木

神戸電鉄三木駅前に設置されている白ポスト=三木市末広1

 有害図書などを回収する兵庫県三木市内の「白ポスト」で、本類の回収量が年々減っている。多くのコンビニで成人向け雑誌が販売取りやめになったことなどが影響しているとみられる。一方で、成人向けDVDなどは年によって多少の上下があるものの高止まり傾向。「有害指定図書」でもデジタル化が浸透しているようだ。(小西隆久)

 白ポストは約50年前に同県尼崎市で始まり、三木市内ではイオン三木店や神戸電鉄三木駅前など計8カ所に設置。市補導委員と市職員が毎月、分担して中身を回収している。

 対象となる「有害図書類」は、県青少年愛護条例で「著しく性的感情を刺激するもの」などと定めており、書籍、雑誌のほか、絵画や写真、DVDなども含まれる。

 うち書籍や雑誌などの図書類が近年、減少している。市青少年センターの集計によると、2016年度に回収された有害図書は484冊だったが、21年度は179冊と半数以下に減少。成人向け雑誌の自動販売機撤去や、コンビニでの販売取りやめなどが背景にあるとみられる。

 一方でDVDなどは、16年度=1305枚▽17年度=1066枚▽18年度=701枚▽19年度=1588枚▽20年度=1054枚▽21年度=1074枚-と千枚前後で推移している。

 DVDなどの場合、200枚以上が一度に特定のポストに入れられる月もあり、同センターは「業者による不法投棄の可能性もある」と指摘する。また、一般の雑誌や電話帳などが入れられるケースも絶えず、毎年100冊前後が回収されている。

 インターネットやスマホの普及に伴って、書籍やDVDは下火になる一方だが、同センターは「三木市では有害図書の処分に一定の役割を果たしている。今後も白ポストによる回収を継続する」としている。

【白ポスト】 成人向け雑誌など有害図書を回収する専用箱。当初は本類だけだったが、1980年代ごろからアダルトビデオなども対象になった。三木市青少年センターによると、同市内では1966年12月、旧国鉄三木駅と神戸電鉄三木駅の2カ所にドラム缶が設置されたのが最初。その後、ピーク時には14カ所まで増えたが、99年ごろに見直され、現在の8カ所になった。

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