沖縄・玉城デニー知事が長崎で講演 「安全保障、国民的議論を」 基地問題に理解深めて

沖縄の基地問題と基地負担の現状を語る玉城知事=長崎市平野町、長崎原爆資料館ホール

 基地問題について理解を深めてもらい、解決に向けた国民的議論につなげる機運を醸成しようと沖縄県は19日、長崎市内で「トークキャラバン」を開いた。講演した玉城デニー知事は「(日本の)安全保障の問題は沖縄だけの問題ではない。国民一人一人が自分事として考え、話し合ってもらいたい」と呼びかけた。
 玉城氏は、今なお国内の米軍専用施設面積の約7割が集中し、米軍関係の事件・事故、騒音、水質や土壌汚染など県民生活にさまざまな影響が生じている沖縄の基地負担の現状を説明。日米地位協定の抜本的な見直しや米軍普天間飛行場(宜野湾市)の一日も早い危険性の除去、名護市辺野古移設の断念など、基地問題の解決を強く訴えた。
 厳しい安全保障環境を理由に反撃能力保有を盛り込んだ安保関連3文書など、防衛力強化に前のめりな政府に対し「かえって地域の緊張を高め、不測の事態が生じることは絶対あってはならない」と強調。独自の“地域外交”として「沖縄が有する歴史や文化などソフトパワーを積極的に活用し、アジア・太平洋地域の平和や持続可能な発展に貢献したい」と語った。
 トークキャラバンは2019年度から開き、全国10都市目。オンラインを含め約350人が聴講した。長崎大核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授らとのトークセッションもあった。
 玉城氏の長崎訪問は18年の知事就任後初めて。平和公園の平和祈念像前で献花し、長崎原爆資料館を見学。県庁で浦真樹副知事と、市役所で鈴木史朗市長と面会した。

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