夏風邪、茨城県内も増加 5類移行、制限緩和で拡大か

子どもの感染症が県内で流行している(イメージ)

乳幼児がかかりやすい夏風邪「ヘルパンギーナ」の感染者が茨城県内でも増加している。県が公表した直近の定点当たりの患者数(3~9日)は、過去5年間の同じ週の平均値を8週連続で上回った。風邪のような症状が出て重症化することもある「RSウイルス(RSV)」も同平均値を9週連続で上回っている。小児科医師は、新型コロナウイルス対策で感染が減っていたが、対策の緩和に伴って拡大したと指摘する。

ヘルパンギーナは、飛沫(ひまつ)や接触によりエンテロウイルスに感染して発症する。高熱や口内の水疱(すいほう)による喉の痛みが特徴。飲食できずに脱水症状につながる場合もある。RSVは発熱やせき、鼻水などの症状で、細気管支炎や肺炎、呼吸困難を引き起こす場合もある。

県によると、3~9日の週に県内75カ所の定点医療機関で報告された感染者数は、1定点当たり、ヘルパンギーナは4.40人で前年同期比で約5倍、RSVは2.12人で約42倍となった。

過去5年間の同じ週の平均値に対しては、ヘルパンギーナは8週連続、RSVは9週連続で上回った。新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行した5月8日の週から増加を続けている。

水戸赤十字病院(水戸市)の星川欣明小児科部長は、外来患者数のピークは過ぎつつあるとしつつ、「これまでの同じ時期に比べ、信じられないくらいに多い」と説明。院内感染を防ぐため、発熱者は別棟の発熱外来で診察しているという。

国立感染症研究所の速報によると、3~9日の週の全国の定点当たりの値はヘルパンギーナが7.32人、RSVが3.38人で茨城県を上回っている。ヘルパンギーナは27都道府県で「警報レベル」の6.0人に達し、うち宮城県では23.20人に上っている。

感染の拡大について、星川氏は「コロナ禍の感染対策や外出の減少により、他のウイルス感染も減っていたが、(5類移行による対策の緩和で)一気に拡大したのではないか」と指摘する。

特にRSVは、生後3カ月くらいまでの乳児では鼻が詰まって窒息する恐れもある。一方、大人は鼻風邪程度の症状のまま感染を広げる可能性があり、「甘く見てはいけない」と強調する。両ウイルスの感染予防には、マスク着用や手洗いが有効としている。

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