巨大ブラックホール、解明へ前進 成長促すガスの存在示唆

国際チームによるブラックホール研究成果の概念図(国立天文台提供)

 奥州市の国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹(まれき)所長)の研究者を含む国際チームは、ブラックホールが巨大に成長する仕組みに迫る貴重な成果を得た。六つの銀河で、小さなブラックホールの周辺に成長を促す豊富なガスの存在を示唆するもの。関係者は今後、裏付けの研究を進める。

 チームは同観測所で活動する東京大大学院博士課程の高村美恵子さん(27)ら6人を含む日本、韓国、イタリアの計12人が参加。水沢を含む国内4カ所の巨大な電波望遠鏡を組み合わせた観測網で、地球から最大76億光年ほど離れている六つの「狭輝線セイファート1型銀河(NLS1)」を調べた。

 それぞれの中心には、周辺のガスを取り込んで急成長するブラックホールが存在するとされる。2022年3月、ブラックホール付近から出る電波の検出に成功。分析の結果、電波はガスの影響を大きく受けていると推測され、ブラックホール周辺にある豊富なガスの可能性が高いと分かった。

 今回の成果は18日付の米天体物理学専門誌に掲載された。

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