意外なアレがランクイン? 夏場に消費電力が多い家電ランキング

電気代の値上がりに歯止めがかかりません。電気代はエネルギー価格の上昇を背景に2021年からじわじわと値上がりし、高止まりが続いています。さらに2023年6月からは、大手電力会社7社が家庭向けの電気料金プランに関わる「規制料金」を14%〜42%値上げ。物価上昇にあえぐ家計に追い討ちをかけそうです。

そんな家計の負担を少しでも減らすべく、今回は夏場に消費電力が多い家電をご紹介。節電するための方法をチェックしていきます。


電気をたくさん使っている家電は?

経済産業省によると、家庭における夏の1日の家電別電気使用割合は、次のようになっています。

●家庭における夏の1日の家電別電気使用割合

経済産業省のウェブサイト「家庭でできる省エネ」より(株)Money&You作成

電気の使用割合が大きい家電の第1位はエアコン(34.2%)です。これは大方の予想どおりではないでしょうか。2位の冷蔵庫(17.8%)も納得でしょう。暑い夏の日に冷やそうとすれば、電気をたくさん使う必要があります。

3位の照明(9.6%)は少々意外かもしれません。夜になれば、多かれ少なかれ照明は使うものですが、けっこう電力を使っています。以下、4位炊事(6.5%)、5位給湯(6.1%)…と続きます。

経済産業省「夏季の省エネ・節電メニュー」によると、電力需要は日中(13時〜17時ごろ)に高まり、電力需給は太陽光発電の出力が減少する点灯帯(17時〜20時ごろ)に厳しくなる傾向にあるとのこと。経済産業省は、この時間帯の節電の協力を呼びかけています。

家電製品の消費電力はどのくらい?

身近な家電製品の消費電力もチェックしてみましょう。東京都「家計の省エネハンドブック2023」によると、主な家電製品の消費電力は次のようになっています。

●主な家電製品の消費電力

夏場の電気の使用割合がもっとも多いのはエアコンとお話ししましたが、家電製品全体で見れば真ん中くらいです。

上位にはIHクッキングヒーター、電子レンジ、炊飯器といった炊事に関係するものが多くあります。オーブントースターや食器洗い乾燥機、電気ポットなどもわりと電気を使っていることがわかります。

家電別に節電方法をチェック!

節約は金額が大きくて効果の高いところから取り掛かるのがセオリー。夏の節電を考えるときにも、電力使用量の多い家電の節約から考えましょう。ただし、節電をがんばりすぎて、体調を崩すようでは本末転倒です。健康への配慮を忘れず、無理のない範囲で取り組みましょう。

以下、家電別に節電方法と節約できる金額(すべて年額の目安)を紹介していきます。いずれも東京都「家計の省エネハンドブック2023」を参考にしています。

エアコンの節電方法

・冷房時の室温は28度を目安にする(1060円)

・冷房の使用時間を1日1時間減らす(660円)

・フィルターを月2回程度掃除する(1120円)

・日中はすだれ、よしず、カーテンなどで窓からの日差しを和らげる

・冷房時の風向きは上向きにして、扇風機やサーキュレーターを併用する

部屋のドアや窓の開閉はなるべく少ない方が中の涼しい空気を逃さずに済みます。窓は昼間でもカーテンが有効。断熱窓、断熱シート、遮光カーテンなどを利用すると、より冷房効果が高まります。また、扇風機やサーキュレーターを併用することで、風が体に当たると涼しく感じるため、冷房効果をアップできます。

意外な盲点が室外機の吹き出し口。ものを置いていると排気がしにくくなり、冷房効率が下がるので注意が必要です。

照明の節電方法

・照明の使用時間を1日1時間減らす(白熱電球:690円、LED:100円)

・白熱電球をLED電球に交換する(3230円)

照明の節電は、必要以上に点灯しないことにつきます。不要な照明を消すのはもちろん、部屋の明るさを下げることでも節電につながります。また、もし白熱電球が現役ならば、LEDランプに切り替えるのもおすすめです。特に、長く電気を利用するリビングや玄関をLEDランプにすると効果が大きくなります。人感センサーのある照明を利用すると、消し忘れも防げます。なんとなく暗いと感じたら、照明のカバーを掃除するだけでもけっこう違うものです。ぜひ試してみましょう。

冷蔵庫の節電方法

・壁から適切な間隔で設置(1580円)

・設定温度を「強」から「中」にする(2170円)

・冷蔵庫にものを詰め込まない(1540円)

・無駄な開閉はしない(370円)

・冷蔵庫を開けている時間を短くする(210円)

冷蔵室は冷気が噴き出す通気口と中心部を開け、ぎっしり詰めるよりもゆとりを持って収入した方が効率よく冷やせるので節約になります。反対に、冷凍室は詰めて収納したほうが温度を保てます。

また、冷蔵庫は設置場所のゆとりが重要です。冷蔵庫には、熱を外に逃がす放熱板があり、放熱板をふさいでしまうと、余計な電力がかかり電気代が増えるからです。冷蔵庫の上にものを置かないようにし、壁にぴったりつけないようにしましょう。熱いものは冷ましてから入れるようにしましょう。熱いまま入れると冷蔵庫の中の温度が上がり、それを冷やすのに余計なエネルギーを使ってしまいます。

調理・食器洗いの節電方法

・電気ポットの長時間保温はしない(3770円)
・炊飯器の長時間保温はせず、使わないときはプラグから抜く(1610円)

調理で心がけたいのは「保温」を使わないことです。保温は、いつでもおいしく使えるようにしてくれるありがたい機能ではありますが、その分電気を使ってしまいます。電気ポットの水も炊飯器のご飯も、使う量だけ用意して、保温しないようにすれば無駄がありません。

また、厳密には「節電」ではないですが、「家計の省エネハンドブック2023」にはガスや水道の節約術も載っています。

・炎が鍋底からはみ出ないようにする(ガス代560円)

・食器を洗うときは低温に設定する(ガス代2060円)

・食器洗いのお湯の量を減らす(ガス代・水道代計2990円)

いくら強火にしたところで、炎が鍋底からはみ出ていれば意味がありません。強さを加減して、はみ出さないくらいにしましょう。カレーや煮物を作るときには、食材の加熱後に布などで鍋を包んで仕上げる「保温調理」が有効。省エネですし時短にもつながります。

油汚れを落としたいからと、夏場でもお湯で食器を洗う人もいるでしょう。お湯の温度を下げたり、使うお湯の量を減らしたりするとガス代・水道代の圧縮につながります。

また、食器洗い乾燥機は、手洗いよりも水の量を減らせるすぐれものです。電気代を考慮しても、お得になる可能性が高いので、利用を検討してみましょう。

その他の節電方法

・テレビをつけている時間を1日1時間減らす(590円)

・テレビ画面を明るすぎないように設定する(950円)

・パソコンを使う時間を1日1時間減らす(デスクトップ1110円・ノート190円)

・衣類乾燥機はまとめて使い、回数を減らす(1470円)

・衣類乾燥機は、自然乾燥と併用して使う(1万3850円)

・ドライヤーの使用時間を1日1分減らす(260円)

・歯磨き中に水を出しっぱなしにしない(水道代880円)

この他にも、節電できることはいろいろありそうです。心当たりがあるところから、1つずつ節電に取り組みましょう。

電気代は値上がりを続けていますが、電気を使わないわけにはいきません。でも、省エネを行うことで電気代・ガス代・水道代の節約をすることは可能です。

今回ご紹介した節約術を一つでも多く実行し、値上げラッシュを乗り越えましょう。

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