ハラスメントの加害議員、名前公表へ 兵庫・洲本市議会で防止条例が施行、兵庫県内初

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 兵庫県洲本市で今月、同市議会議員による市職員や別の議員へのハラスメントを防止する条例が施行された。発覚した場合は調査し、事実と認められれば加害議員の名前を公表する。自治体議員のハラスメント防止の条例制定は兵庫県内で初めて。

 ハラスメント防止を巡っては、職員を対象とした条例は多くの自治体が定めており、洲本市も2006年に要綱を定めた。一方、地方自治研究機構(東京)によると、議員に限って条例を設けているケースは少ないという。

 洲本市の条例は、相手が抵抗できない優越的な関係を背景に精神的、身体的苦痛を与えるパワハラや、性的な言動で相手を不快にさせるセクハラを対象とする。市民や市職員から議員へのパワハラなどは対象外。議長に申告があった場合、市議会は審査会を設けて、事実と認定すれば議会報やホームページで名前を公表する。

 昨年から条例化について議論してきた同市議会では、今月の定例会に議員提案の条例案が提出された。4日、賛成多数で可決され、同日施行された。

 全国では、地方議会のハラスメント防止条例は増えている。同機構によると、18年に市長のセクハラが問題になった東京・狛江市を皮切りに現在は約30自治体が制定している。

 兵庫県内では姫路、芦屋市などが指針、枠組みといった位置づけで議員によるハラスメント防止をルール化した。政治倫理条例を基に対応したり、研修会を開いたりしている市もある。

 同機構の井上源三顧問は「ハラスメントに関心を持つ市民が増え、議会での職員などへのハラスメントが問題視されるようになったことが背景にあるのではないか」とみている。(荻野俊太郎、古田真央子)

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