山車引き復興へ心一つに 燈籠山祭り開幕 倒壊の鳥居再建「感無量」

協力して威勢よく曳山を引く燈籠山祭りの参加者=珠洲市飯田町

 最大震度6強の地震が襲った珠洲市ににぎやかな祭りの季節がやってきた。20日、飯田町で開幕した燈(と)籠(ろ)山(やま)祭り。4年ぶりの通常開催で、最大の呼び物である山車(やま)「燈籠山」を春日神社の氏子と飛び入りの観光客らが協力し巡行させ、まちなかに笑顔があふれた。震度6弱の地震で倒壊した鳥居の再建資金を寄付した人たちも参加し、山車を引きながら復興へ気持ちを一つにした。

 鳥居の竣工祭では葛原秀史宮司(55)が祝詞を奏上し、氏子が玉串をささげた。燈籠山と曳山(ひきやま)計9基とともに多くの氏子が参列し、地域のシンボルの完成を祝った。葛原宮司は「感無量。復興に向けて進みたい」と話した。

 午後2時、法被をまとった若衆が笛や太鼓の音色に合わせて木やり唄「きゃーらげ」を歌うと、高さ16メートルの燈籠山、豪華な装飾が施された曳山がゆっくりと中心商店街に向かって動き出した。住民や観光客は江戸時代の火消しをモチーフとした人形が載せられた迫力たっぷりの山車に歓声を上げた。

 珠洲市若山町中田出身の二飯田(にはんだ)陽一さん(43)=東京、珠洲勤務の経験がある川崎充哉さん(37)=富山市=は鳥居再建へクラウドファンディングでそれぞれ寄付。燈籠山を引き、川崎さんは「みんなで声を合わせて動かす瞬間がたまらなかった」と汗を拭った。

 新型コロナの5類移行を受けて多くの観光客も訪れ、奥能登国際芸術祭(北國新聞社特別協力)のモニターツアーで訪れた台湾の旅行会社の担当者も燈籠山と曳山に目を見張った。

 ほっこく観光(金沢市)は文化観光の一環として燈籠山祭りを見学するバスツアーを実施し、37人が燈籠山と曳山、花火の競演を楽しんだ。

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