ケヤキ並木、保全前倒し 山居倉庫整備策定委・酒田市、意向示す

山居倉庫整備基本計画の素案について議論した策定委員会の初会合=酒田市・酒田駅前交流拠点施設ミライニ

 国指定史跡・山居倉庫に関する整備基本計画策定委員会の初会合が20日、酒田市の酒田駅前交流拠点施設ミライニで開かれた。樹勢衰退が懸念されているケヤキ並木について市は計画策定を待たずに先行して石畳を撤去するなどし土壌改良に取り組む意向を示した。

 ケヤキは防風と遮熱を目的として、倉庫建築とほぼ同時期の1890年代に植えられた。石畳は1989年に敷設され、酒田の景勝地として人気を集めてきた。その一方で、石の重みなどにより木の生育が阻害され、枝葉が減少するなどの衰えが目立っていた。

 市は2021年度から山居倉庫保存活用計画策定委員会でケヤキ並木を含む山居倉庫の保存活用について検討を重ね、石畳を撤去する方針を示していた。本年度から2カ年で策定する整備基本計画で施工方法を決め、25年度から工事に入る予定だったが、樹木医からより早く樹勢回復策を講じた方が良いとの指摘を受けて前倒しの意向を示した。

 初会合では試験的に石畳の一部を撤去し検証をする方針や施工内容の案を委員に説明した。整備基本計画策定委は有識者12人で構成し、この日は委員長に奈良文化財研究所の本中真所長を互選した。市の担当者が計画素案のうち策定の経緯や計画地の現状などを記した部分も示した。策定委は来年度まで計6回開かれる。

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