「被爆80年」長大レクナ 核軍縮へ米財団と事業 2025年夏までにビジョン計画

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は20日、2025年の「被爆80年」事業として、米シンクタンク「カーネギー国際平和財団」との共同プロジェクト「核軍縮への新たな道程」を始めると発表した。25年夏までに核軍縮を推進するビジョンなどをまとめ、無料でダウンロードできるデジタル出版を英語と日本語で計画する。
 ロシアが核のどう喝を繰り返すなど、国際社会で核軍縮の展望が開けない中、現状を分析し、新たなアプローチを提案、政策を巡る議論の活性化を目指す。
 吉田文彦センター長、同大多文化社会学部の西田充教授、日本政府の「『核兵器のない世界』に向けた国際賢人会議」委員でもある、同財団のジョージ・パーコビッチ副会長の計3人が執筆の責任者を務める。
 期間は今月から25年6月までの2年間。24年の米大統領選を踏まえ、同財団が25年1月ごろに首都ワシントンで開く核政策に関するシンポジウムでも関連の会合を設け、議論する予定。
 吉田氏は20日にあった同大の定例会見で「被爆地として重要な節目の年。世界全体を見回した現状分析をし、新しい核軍縮のアプローチを再構築する方法を考えていく。米大統領選が終わった時期でもあるので、可能であれば政策提言をしたい」と語った。
 同プロジェクトは、戦時中に学徒動員を経験した長崎市民(故人)から22年10月に「核兵器廃絶の活動に役立ててほしい」と約1億円の寄付を受け、その一部を活用する。

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