車内でズズズ「バスラーメン」姫路に登場 車販売業の男性、土曜昼限定で営業 移動もOK、人気広がる

ラーメンバスを切り盛りする藤原一彦店長=姫路市山田町牧野

 改造したバスの車内でラーメンを調理、販売する「麺バス亭」が、兵庫県姫路市山田町牧野に登場した。営業は毎週土曜の昼限定で、珍しさもあり、県内外から多くの客が足を運んでいる。長距離を移動できる利点を生かし、播磨地域を中心にイベントにも積極的に出店。レトロな雰囲気の車内ですする「バスラーメン」の人気がじわり広がっている。(森下陽介)

■「自家用バス」所有するほど好き

 周囲は田畑や民家に囲まれた緑豊かな地域。白とピンクの車体が異彩を放つ。後部ドアのステップに足をかけ「乗車」すると、わずかに揺れを感じる。「バスならではの感覚でしょう?」と店長の藤原一彦さん(43)。床材やシートもほとんどそのまま利用している。

 藤原さんは「自家用バス」を個人で所有するほどのバス好き。ラーメン店巡りも同じくらい好きで、店は二つの趣味を実現した格好だ。

 長らく出店の構想を練っていた藤原さん。10年近く前、姫路駅前の「ラーメン丸十」の味にほれ込み、5年間修業を積ませてもらった。本業の自動車販売業の仕事を終え、午後8時から店に入り、終わるのは日付が変わった午前1時ごろ。ハードな生活を続けながら、ラーメン作りの基本を学んだ。

 修業が終わっても自分の味を追究し、出店準備を進めていたころ、改造したバスでラーメン店を開いていた人が廃業することを知り、車両を買い受けた。満足のいく味にもたどり着き、2022年11月、仕事で使っている建物の前に開店。交流サイト(SNS)などで評判が広がり、県外からも「バスラーメン」のマニアが訪れるようになった。

■がっつり二郎系も用意

 メニューは、こだわりを詰め込んだ昔ながらのしょうゆラーメンやみそラーメン。自家製の細麺に、こくのあるスープがよく絡む。多めの麺と厚切りチャーシュー、どかっと盛られた野菜が迫力満点の「麺バス二郎」も用意する。

 店は妻や子どもたちと切り盛りする。店内は座敷席やカウンターなど12席ほどだが、屋外にも席を用意し、テイクアウトもできる。家族の息の合った連携で、忙しい休日のランチタイムを乗り切っている。

 藤原さんは「家族には苦労をかけっぱなし。修業先の大将にもお世話になり続けているし、もっと店の名前を売って恩返しがしたい」と話す。

 午前11時~午後2時半。各種イベントでの出店依頼も受け付けている。麺バス亭TEL070.8996.2345

© 株式会社神戸新聞社