兵庫・三田市長選、病院再編巡り現職森氏と新人田村氏が激戦 久元・神戸市長や泉・前明石市長も応援

三田市役所=三田市三輪2

 現職と新人3人が争った兵庫県三田市長選は23日、午後8時に投票が締め切られた。神戸新聞の出口調査では、3期目を目指す現職森哲男氏(71)=自民、立民、公明、国民推薦=と元銀行員の田村克也氏(57)が激しく競り合う展開となり、元市議の長谷川美樹氏(72)=共産推薦、元市議の多宮健二氏(53)が続く。大勢判明は午後11時ごろの見込み。

 選挙戦最終日の22日、田村氏は前明石市長・泉房穂氏とニュータウンの商業施設前で並んでマイクを握った。抜群の知名度を誇る泉氏に足を止める買い物客の姿も。田村氏は「元気な三田を取り戻す。ベクトルは一つだけ。市民を向いて仕事をする」と力を込め、泉氏は「明石は12年前の選挙から始まった。まちを変えたのは私ではない。市民が変えた。それが選挙だ」と支持を訴えた。

 一方の森氏は同日夕、三田駅前に自民党の国会議員らと立った。神戸市長の久元喜造氏も駆けつけ、「二つの病院をそれぞれ単独で残すことは絶対にできない。賢明な選択を」と訴えた。森氏は選挙戦でからした声を振り絞り「市民病院はなくなるのではなく、新しく生まれ変わる。道を間違えてはいけない」と理解を求めた。

 今回、最大の争点となったのが、三田市民病院(けやき台3)と済生会兵庫県病院(神戸市北区)の再編統合問題だ。現市政は統合先の新病院を神戸市北区長尾町宅原に建設する計画を進めており、三田市と神戸市は統合に向けて協力してきた関係にある。

 だが、三田市内から市民病院がなくなることへの有権者の反発は大きかった。田村氏は「白紙撤回」を掲げ、現市政の情報発信などを批判。一方で長谷川氏が現在の場所での存続を訴えており、現職への批判票が割れた。

 子育て支援にも関心が集まった。三田市では前市長が「子育てするならゼッタイ三田」をキャッチフレーズに掲げ、中学生までの通院費を無償化。しかし森氏は財政再建のため、1期目で低所得世帯以外の小中学生に通院費の一部負担を求めた。2期目には「財政が安定してきた」とし、再び医療費助成の拡充へとかじを切った。田村氏は森氏が無償化をやめたことを批判。明石市で手厚い子育て施策を展開してきた泉氏の応援を受けて18歳以下の完全無償化などをアピールし、子育て世代に浸透を図った。

 長谷川氏は共産党市議時代の11年間を含め、「誰よりも市民の声を聞いてきた」と自負し、「市民病院を現在の場所で充実させていくのは自分だけ」と他候補との違いを強調。多宮氏は森市政の8年間を「コストカットばかりで将来ビジョンがない」と批判し、子育て支援を充実させ、三田の魅力を高めると訴えた。

 投票率は42.60%で、参院選と同日だった前回2019年を12.14ポイント下回った。

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