【ミャンマー】2万チャット札を7月末発行、最高額面に[金融]

ミャンマー中央銀行が新たに発行する2万チャット札のデザイン(中銀提供)

ミャンマー国軍の統制下にある中央銀行は7月31日、紙幣として最高額面となる2万チャット札を発行する。新紙幣には権力と幸運の象徴である白象を描く。8月1日でクーデターから2年半を迎えるが、国軍には同日の伝統的な仏教行事に合わせて権威を誇示する狙いがあるとみられる。

2万チャット札は現行の紙幣と交換する形でのみ発行する。現在は1万チャット札が最高額面で、2021年2月のクーデター後の現地通貨安に起因する物価高が続く中での新紙幣発行となる。

軍事政権は新紙幣発行の理由の1つに、首都ネピドーでの高さ約19メートルの大理石製大仏の建立を挙げる。この大仏は、仏教行事「ワーゾー祭」で祝日となる8月1日に完成式典を執り行う予定で、関連設備の建設と式典開催に向けた調整が進んでいる。

大仏は、台座や階段を含めて白で統一されている。国家としても白は重要な色。ミャンマー国旗には白い星が描かれているが、これは同国が地理的、民族的に一体化する意義を示している。

政変後は軍政に反発する民主派「国民防衛隊(PDF)」の抵抗が続き、各地に点在する少数民族武装勢力の動きも活発となっている。軍政は情勢不安を理由に非常事態宣言の期限を延長して総選挙を先送りしており、今月末に期限を迎えるものの、再延長が濃厚とされる。

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