阪神、阪急 全車両に防犯カメラ設置へ 車内をリアルタイムに確認、実証経てセキュリティー強化

阪急電鉄が設置する防犯カメラのイメージ(同社提供)

 阪神電気鉄道と阪急電鉄は24日、全ての車両に防犯カメラを設置すると発表した。阪神は2025年4月の大阪・関西万博開幕までに、阪急は27年度末までにそれぞれ完了する予定。23日にはJR関西空港線の車内で、乗客らが刃物で襲われる事件が起きたばかり。私鉄各社もセキュリティー強化に力を入れる。

 阪神は今年9月ごろ、普通電車から設置を開始。現在358両を保有しており、近年中に更新計画がある車両を除く全車両に付ける。阪急は8月末から運用を始め、28年3月までに全車両へ拡大する。4月時点で1291両を保有している。

 ともに1両にカメラ3台をドア上部に設置。運転指令室などで車内の映像や音声をリアルタイムに確認できるため、迅速な対応が可能という。近くに「防犯カメラ作動中」と書いたステッカーを貼る。

 データは1週間程度で上書き消去し、捜査関係者から要請を受けた場合を除き、第三者に提供しない。ただ、相互直通運転する他社区間で取得した情報は、車内セキュリティー向上の目的に限り、共同利用する可能性があるという。

 阪神は22年5月から大阪梅田-新開地の普通電車、阪急は同年10月から神戸、京都の各線の1編成ずつで試験的にカメラを設置し、実証実験をしてきた。

 防犯カメラを巡っては、JR西日本が27年度末までに京阪神地区の主な路線を走る全車両に、近畿日本鉄道が28年度末までに全車両に設置する方針を発表している。(大島光貴)

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