大学生の三宅さん初講話 被爆者・築城さんの情熱に心打たれ 長崎「交流証言者」定期講話

「交流証言者」として築城さんの体験を初めて語る三宅さん=長崎市、長崎原爆資料館

 被爆者に代わり被爆体験を語り継ぐ「家族・交流証言者」の定期講話が23日、平野町の長崎原爆資料館であり、長崎県五島市出身の大学2年、三宅杏風さん(22)が、長崎で被爆した築城昭平さん(96)の体験を初めて披露した。
 三宅さんは長崎市の純心女子高に進学後、被爆体験の継承や平和の尊さを発信する青少年ピースボランティアに加わった。平和について学ぶうちに、幼少期から好きな英語でより学びたいという思いが強まり、米ミネソタ州のガステイバス・アドルファス大に進学。政治学と平和学を専攻している。
 築城さんとの出会いは2019年10月。家族・交流証言者事業の交流会に参加し「証言者になりたい」と決意。築城さんの平和に対する情熱に心を打たれ、新型コロナ禍で五島市に一時的に戻っていた時も手紙を通じて体験を聞き取った。
 築城さんは18歳の時、爆心地から1.8キロの長崎師範学校(現・市立西浦上中)の寮で被爆。全身のやけどに加え、左腕と左足に重傷を負いながらも友人と命からがら、西彼長与町の救護所まで歩いたという。長年、長崎で語り部を続けながら英語を学び、国内外で語り継いでいる。
 三宅さんは、原爆投下時の「ガガー!」という音なども加え、「地球が終わると思った」という築城さんの当時の心境を丁寧に表現。今後は講話回数を重ね「米国でも英語で伝えていきたい」と取材に答えた。
 同事業は市が主催。7月23日時点で家族証言者は15人、交流証言者は36人。

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