熱戦が続いた神戸市中学校総合体育大会(神戸新聞社後援)で、大きな話題となったのが、サッカーで初優勝した灘(東灘区)。言わずと知れた全国有数の超難関校だが、実は3年連続で決勝に進み、悲願の栄冠を手にした。キャプテンが表彰式直後、算数オリンピックの中学生部門(広中杯)の決勝出場のため大阪へ駆け付けるなど、灘中生らしいエピソードのおまけ付きで、取材した新人記者の私もびっくり。こんなに強いの、なぁぜ?なぁぜ?(大高 碧)
16日にあった決勝は、3年連続で本庄(東灘区)と灘がぶつかった。優勝校の取材を任された私は試合後半、王子スタジアムに到着。試合の流れが分からず、通路脇でキョロキョロしていると、保護者らしき女性に声をかけられた。
「緊張してしまって、しっかり見ていられないんです」。そう話す女性は灘の主将丸山和士選手(15)の母、直美さん。本庄の2点リードのまま、ホイッスルが近づいているという。
3連覇を目指す本庄相手の苦しい展開の中、前向きな声かけで鼓舞し続ける監督がいた。灘の教員で灘サッカー部のOBでもある般若正大さん(32)。「母校で教えたい」と、3年前に赴任してチームを強化し、その後、決勝進出を続ける。
「今年こそは」と三度目の正直を誓った中総体。実力者ぞろいの本庄ペースで進む中、般若監督は選手たちに「1点取ったら流れは変わる。もし優勝でもしたら市内からめちゃくちゃ注目されるぞ」とハッパをかけた。前向きな思いが、灘イレブンに伝わり、後半終了間際に同点に追い付いた。
延長戦でも粘り強いドリブルから得点を決め、最後まで守り抜いた。般若監督について、丸山主将は「否定せず『ここを変えたらもっと良くなる』と前向きな声かけをしてくれるので、どんな場面でもみんな頑張れる」と話し、チームの粘り強さを生んでいるという。
「勝つことも大事だけど、それ以上に選手たちのうれしい顔が見たかった。次は神戸の代表として、いい試合をしたい」と般若監督。25日に開幕する県中総体でも「灘旋風」を巻き起こせば、今度は県内から大注目されるのは間違いない!