入善町無形民俗文化財の大磐(おおばん)祭りは24日、同町新屋の住吉社で行われ、近郷の力自慢が磐持石と呼ばれる100キロ超の大石を持ち上げる伝統行事に挑んだ。町、祭り実行委によると、大石を使い、現在も続いているのは県内では同社のみで、関係者は久々に熱気に包まれた境内で伝統継承への思いを新たにした。
実行委によると、戦国武将の上杉謙信に町を焼かれた際、神社の神石一対を池に投げ込むと火が消えたため、神石を引き揚げ、力試しの石になったと伝わる。「とやまの祭り百選」にも選定されている。
磐持石は135キロの青石、117キロの御影石があり、大会には117キロの楕円(だえん)形御影石を使った。
ひざ、胸まで、肩以上まで段階的に持ち上げる力試しに11人が挑戦した。声援を受け、顔を真っ赤にして力を込めたり、縄を使って上げ方を工夫したりしたものの、胸までが精いっぱいで、肩以上に上げるつわものは出なかった。
夜店が出て、子ども対象の俵上げ大会、あらや住吉太鼓の披露、盆踊り大会も行われ、境内は活気づいた。
コロナ禍の影響で全ての催しを本来の形で行うのは4年ぶりで、住吉社総代長の渡邊盛弘さん(69)は「住民の絆を深める地域の大切な伝統行事で、完全に復活できて良かった。境内に老若男女の笑顔があふれ、感無量だ」と話した。