中学生たちの言葉

 ぎゅっ、と7秒間。山田紗菜さん=長崎市立三重中3年=の朝は、お母さんとのハグで始まる。あなたが大切だよ。紗菜さんにそう伝えるために、お母さんは朝ごはんの支度を放り出して“魔法”をかけにくる▲山﨑優奈さん=長崎大附属中3年=の祖父は進行性の病気と闘っている。周囲に支えられながら懸命に生きる祖父に「大好き」と「ありがとう」を繰り返し伝え続けたい。あしたも生きていたい、と考えてくれる理由になれるように▲時津町立鳴北中3年の川林凜音さんは〈もし、報われない努力があるのならば、それはまだ努力の域にないのだ〉という、あの世界の本塁打王の名言に異議がある。優勝するのは1チームだけ。勝利や成功という実を結ばない努力もある。でも「努力した経験は心の大事な場所で輝き続ける」▲知らない人とは話をするな-と言われるけれど、長崎市立長崎中3年の中野怜さんには、それが犯罪の抑止に結びつくとは思えない。孤独や孤立を生まないように、誰かの変化に気づいてあげられるように「私は気さくに、親切に」▲一昨日、審査のお手伝いをさせていただいた「社会を明るくする運動」長崎地区中学・高校生弁論大会から▲梅雨が明けた。爽やかな言葉が前線を吹き飛ばして-と書いたらこじつけが過ぎるか。(智)

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