「黒い雨」調査の期間短縮を 長崎の被爆体験者ら 県市に要望

県の担当者に要望書を提出する山内さん(右)ら=長崎市役所

 国が定める地域の外で長崎原爆に遭い被爆者と認められない「被爆体験者」の救済を巡り、体験者や支援者が25日、県と長崎市の担当者と協議した。国は今月、所蔵する被爆体験記約12万件の中から「黒い雨」などに関する記述の抽出作業を開始。体験者側は、国が1年程度かかると見込む調査期間の短縮に向け、県市も力を尽くすよう求めた。
 原爆投下後に放射性物質を含む黒い雨や灰などに遭ったと証言する体験者は多い。広島原爆の黒い雨被害者は被爆者と認められており、長崎でも同様の認定を求めるが、国は長崎で「降雨の客観的記録はない」などとして認定していない。
 県市は被爆地域外の降雨記録が含まれている可能性があるとして、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館所蔵の被爆体験記の調査分析を求め、国が応じた。ただ高齢化する体験者は長期間の調査に反発。25日の協議でも山内武さん(80)は「動きが遅い。迅速に進めるよう国に訴えてほしい」と求めた。
 要望書を受け取った県市の担当者は「国に期間短縮を求めつつ、県市も(短縮に向けて)協力できることがないか国と相談していく」とした。

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