「にわか芝居」でほっこり 「有川十七日祭り」400年祭にぎわう 新上五島町

ツルではなくサギだと見破ったシーンを熱演する町民ら=新上五島町、海童神社前

 長崎県新上五島町有川郷で23日、水難事故防止を願う伝統行事「有川十七日祭り」400年祭(有川まつり振興会主催)が開かれ、海童神社前は関係者や見物客ら約500人でにぎわった。
 旧有川町郷土誌などによると、江戸期の1617~19年、6月17日に限って水難事故が多発した。不安を募らせた住民が翌20年6月17日、海童神社を祭って即興の「にわか芝居」を奉納し、水難事故がなくなったことを起源とする。
 毎年旧暦の6月17日に行われてきたが、近年は7月の第4日曜日に固定。コロナ禍のため、3年遅れての400年祭となった。
 中筋、上有川、西原、浜、高崎、船津の6地区がそれぞれ小さな舞台を備えた山車(やま)を引き、舞台の前で踊りや、最後に必ず「落ち」があるにわか芝居を披露する。各山車1場所で約10分間の上演。海童神社に奉納後は郷内を練り歩き9場所で演じる。
 今年のにわか芝居は、テレビ番組のパロディー「ニャンでも鑑定団」で、願いがかなうつぼの査定の数字が20億超えの値段かと思いきや「2915670270(にくいコロナゼロになれ)」の願い文だったという話や、助けたツルが恩返しにと恩人をATMに誘導するが、実はサギ(詐欺)だと見抜かれたなどの落ちが決まり、観客らは拍手喝采した。
 観光で訪れた東京都の会社員、大和はるかさん(28)は「お祭りを見る機会にまで恵まれた。ほっこりと笑える落ちが決まって面白かった」と楽しげに話した。

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