踏切内で男性転倒…響く警報、でも「今なら助け出せる」 救助した京都大院生を伊丹署が表彰

踏切内で転倒した高齢男性を助け出し、のじぎく賞を受けた松村大毅さん=伊丹市千僧1

 踏切内で転倒した高齢男性を助け出したとして、兵庫県警伊丹署は京都大大学院理学研究科の院生、松村大毅さん(23)に県の善行賞「のじぎく賞」を伝達した。

 6月23日正午過ぎ、松村さんは研究室へ向かうため、最寄りの阪急電鉄新伊丹駅に向かっていた。線路沿いを歩いていると、警報器が鳴っているのに、小走りで踏切を渡ろうとしている男性(67)が目に入った。なんとなく危なっかしく感じ、様子を見ていると、男性は枕木につまずき踏切の真ん中に突っ伏してしまった。

 「カン、カン、カン」と警報音が鳴り続け、遮断機がゆっくり下がる。向こうから上り電車が迫っているが、男性は身じろぎこそすれ立ち上がらない。倒れたのは下り線の上で、じっとしていれば電車にはひかれないだろう。でも誤って上りの線路に入ってしまったら…。幸い上り電車はまだ遠く、下り電車は見えない。「今なら助け出せる」

 松村さんは線路内に入り、男性に駆け寄った。体をさすると男性はふらつきながら起き上がった。松村さんは肩を支えて一緒に線路外へ出た。

 振り返ると、電車は踏切前で非常停止しており、近くをパトロール中だった同署員が対応を引き継いだ。

 松村さんは「最初に自分の安全を確認して、助け出せるかを判断した。他人任せにするのではなく、自分から動くことが大切と思った」と話した。(池田大介)

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