世界には10代で傑出した才能を見せるサッカー選手が数多くいる。世界最高の名手と称えられたペレ、ディエゴ・マラドーナ、リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドは全員10代のときから頭角を現している。
日本ではクラブチーム日本一を決める日本クラブユース選手権が今月23日から群馬県で開催されており、夏の高校サッカー最強を決めるインターハイも今月25日から北海道旭川市で開幕した。真夏の日本一を目指して奮闘する高校生たちが未来の日本サッカーを背負っている。
そこで今回は、日本の年代でいえば高校生世代に当たる世界で活躍する2005年4月2日生まれ以降の有望選手5人をピックアップした。
高い完成度を誇る現代型ボランチ
ワレン・ザイル=エメリ
生年月日:2006年3月8日(17歳)
国籍:フランス、マルティニーク
所属クラブ:PSG
ポジション:セントラルミッドフィルダー
現在来日しているフランス1部PSGでプレーするザイル=エメリは、若くして完成度が非常に高い現代型セントラルミッドフィルダーとして輝きを放っている。
ファーストタッチの柔らかと繊細さ、左右遜色なく高精度パスを配給できるパス制度、局面を見ながら柔軟に対応できるゲームを読む賢さ、球威のある鋭いシュートと攻撃面だけでなく、出足の早い守備、相手の攻撃を先読みするようなカバーリング、相手の出鼻をくじくインターセプトなど守備面も非凡な才能を見せている。
昨季はリーグ戦26試合2得点と世界最高クラスの選手が集まるPSGで存在感を発揮し、フランスサッカー界でも大きな期待を抱かれている。日本の高校3年生の年代であると考えると、この完成度の高さは末恐ろしいものがある。
クロアチアの超新星
ルカ・ヴシュコヴィッチ
写真左
生年月日:2007年2月24日(16歳)
国籍:クロアチア
所属クラブ:ハイドゥク・スプリト
ポジション:センターバック
16歳年代以下では世界の移籍市場推定価格(transfermarkt調べ)で最高額のヴシュコヴィッチは、クロアチア1部ハイドゥク・スプリトでリーグ戦8試合に出場している天才センターバックだ。
クロアチア国内ではスペイン代表、バルセロナで活躍したジェラール・ピケ氏と比較される存在で、193センチの長身を生かしたエアバトルの強さ、精度の高いロングフィード、身体能力の高さ、相手をいなすボールコントロールなど現代型CBが必要とする要素を高い水準で備えている。
正確なポジショニングで相手のチャンスを潰す守備能力はビッグクラブからも注視されており、レアル・マドリーやバルセロナも獲得に興味を抱いているという。日本の高校2年生年代とは思えないほどのクオリティとポテンシャルを秘めている。
ファイナル・ファンタジスタ
シモーネ・パフンディ
生年月日:2006年3月14日(17歳)
国籍:イタリア
所属クラブ:ウディネーゼ
ポジション:攻撃的ミッドフィルダー
弱冠16歳でイタリア代表デビューを果たした傑出した逸材は、2021-2022シーズン最終節サレルニターナ戦でプロデビューを飾り、昨季はリーグ戦9試合に出場した。
現代サッカーにおいて「ファンタジスタは絶滅した」とよく耳にする話だが、パフンディはイタリア最後のファンタジスタになるかもしれない。様々な局面を打開するアイディアを持っており、細かい切り返し、正確なトラップ技術、利き足の左足から繰り出されるパスとシュートは一級品だ。
相手が予想しないタイミングでのパスやドリブルは、亀裂を入れるように現代サッカーの強固なディフェンスを破壊する才能は天才以外の表現が見つからない。同じ左利きのマラドーナと比較されるファンタジスタは、日本だと高校3年生。サッカー漫画に出てきたらやり過ぎな存在だ。
ブンデスリーガの歴史を塗り替えた怪童
マティス・テル
生年月日:2005年4月27日(18歳)
国籍:フランス、グアドループ
所属クラブ:バイエルン
ポジション:センターフォワード
2022-2023シーズン開幕フランクフルト戦で17歳136日のクラブ史上最年少出場記録を作り、第6節シュトゥットガルト戦でリーグ最年少ゴール記録を達成した若きレコードブレーカーは、バイエルンの未来と称されるほどの期待を抱かれている。
育成年代は主にセンターバックでプレーしていたが、身体能力の高さ、優れた推進力、フィジカルの強さが評価されてセンターフォワードにコンバートされた。左右の足を問題なく使いこなせる技術力の高さも評価されている。
弱冠18歳と日本では高校3年生の年代。フランスの年代別代表でもゴールを量産しているため、パリ五輪、A代表の活躍が期待されている。
21世紀のフェノーメノ
エンドリッキ
生年月日:2006年7月21日(17歳)
国籍:ブラジル
所属クラブ:パルメイラス
ポジション:センターフォワード
2022年12月15日に世界的な強豪であるスペイン1部レアル・マドリーと2024年からの入団契約を交わしたブラジルサッカー界最高の才能は、既に同国のレジェンドであるペレ、ロナウド、ロマーリオと比較される存在だ。
相手に触れることすら許さない超高速ドリブルは技術、スピード両面で超一級品のクオリティであり、そこに遊び心のある奇想天外なアイディアも織り交ぜてくる。利き足である左足の決定力は並外れており、プレースキックも非凡。相手の間を絶妙に突くタイミングで放つシュートは対処が難しい。
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今季はパルメイラスでリーグ戦13試合4得点と才能の片りんを見せている。時折見せるスーパープレーは世界最高のサッカー選手の1人であるメッシを彷彿とさせる。年齢は日本の高校2年生世代と考えると、驚きでしかない。