佐世保観光コンベンション協会理事長・辻󠄀宏成さんインタビュー 観光都市と住民が認識を IR誘致で人口減に歯止め

観光圏「海風の国」の振興策について語る辻氏=佐世保市稲荷町、西九州倉庫

 佐世保観光コンベンション協会の新しい理事長に、西九州倉庫社長の辻󠄀宏成氏(57)が6月1日付で就任した。佐世保市、小値賀町が連携した観光圏「海風の国」の振興に取り組む。新型コロナによる制限がなくなり、今後の観光推進が期待される中、現状や課題などについて聞いた。

 -観光圏の魅力、現状は。
 本年度から第3期となる新たな5カ年計画に沿って、持続可能な地域ブランドを追求している。多様性が魅力の源。九十九島、ハウステンボスという二大観光資源があり、世界遺産や日本遺産も存在。さらに春夏秋冬の自然、ジャズ、佐世保バーガー、外国人バー…。米海軍と共存共栄し、ほかの地域とは異なるインパクトがある。ウエルカムな住民気質もいい。ほかの全国12の観光圏と連携して、国内交流の拡大や外国人観光客にも選ばれる観光地づくりを進めていきたい。
 -課題は。
 観光都市としての住民の認識が広がっていくことが重要。佐世保港へのクルーズ船の寄港が少しずつ復活してきた。港に客船が停泊し、乗客が周遊観光をするようになると、観光地としての実感が広まると思う。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致も推進する。実現すれば観光は大きく変容し、雇用や建設投資などの経済効果も期待される。定住、交流も含め、人口減への対策となる。
 -今後の抱負、目標は。
 コロナ禍前の2019年の延べ宿泊客数は約150万人だった。5年後の目標は約200万人。消費額は観光圏の全国平均となる3万4千円を目指す。交流サイト(SNS)などでいろんな物が一気に話題となる時代。多種多様なコンテンツにアンテナを張り巡らせ、情報を発信していきたい。最近はナイトタイムエコノミーという言葉が使われるようになった。夜間観光の要素を充実させる必要もある。行政と協会は車の両輪。行政ができないところを私たちがやっていく。病気で体調を崩した時期もあったが、観光振興のために頑張りたい。

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