青森ねぶたも「SDGs」 NTTグループ、昨年の木材を半分再利用

昨年のねぶたから回収した木材を手にする北村さん(左)と成田企画総務部長

 青森ねぶた祭の運行団体「NTTグループねぶた」は今年の祭りで、昨年出陣したねぶたの廃材を再利用した大型ねぶたを運行する。持続可能な開発目標(SDGs)をテーマに掲げる同グループが、ねぶた師・北村春一さん(42)に依頼して実現した。一般的に、祭りを終えたねぶたはすぐに廃棄されるが、同グループは昨年のねぶたを保管。北村さんらが今年の制作にも使える木材やくぎを厳選した。

 NTT東日本青森支店(磯﨑崇支店長)の成田圭司企画総務部長は「ねぶたがすぐに壊されるのは古くからの習わしで仕方ないとはいえ、もったいないという気持ちもあった」と吐露。「何とかこの廃材を利用できないか」と、同グループのねぶたを手がける北村さんに依頼した。北村さんは「環境問題のこともあるが、そもそも近年は物価高騰で全ての道具が倍くらいに値上がりしている。特に木材は手に入れにくくなっている」として承諾した。

 廃材集めにはかなりの時間と労力を要した。北村さんによると、木材は長短さまざまあり、ねぶたの骨格を支える役割を果たしている。再利用するためには、刺さっているくぎを真っすぐに抜いたり、電球を回収したりする必要があるという。

 しかし、苦労のかいもあって、今年のねぶたは昨年の木材の約半分を再利用することに成功した。色付けされた昨年の紙は、一般向けの「ねぶた制作教室」の教材に使用。コスト面はあまり変わらなかったというが、成田部長は「SDGsの精神をこのねぶたで発信したい」と意欲を語る。

 今年の同グループのねぶたの題材は「釈迦降誕(しゃかごうたん)」。お釈迦様が誕生し、「天上天下唯我独尊」を説く場面だ。昨年のねぶたの素材を受け継ぎ、新たに生まれ変わったねぶた。北村さんは「今後も廃棄していたねぶたの素材を再利用するのも制作における選択肢の一つになってきそう」と手応えを語った。

 NTTグループねぶたの運行は8月2、4~7日。

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