アートと「一体となる感覚」味わって 世界的に活躍「チームラボ」の映像作品 兵庫・姫路で特別展

無数の光る点が近づき合うが、鑑賞者が触れると離れ、また近づくという作品=姫路市本町

 世界的に活躍するデジタルアート集団「チームラボ」の特別展「チームラボ 無限の連続の中の存在」(特別協力=神戸新聞社)が、兵庫県姫路市本町の市立美術館で開かれている。前後期で5点ずつ、新作計4点を含む全10点の映像作品を展示。鑑賞者が立つ現実空間と目の前の作品世界が境目なくつながるような、チームラボが提唱する「超主観空間」を体感できる。(上杉順子)

 著名な芸術家を年替わりで姫路に招く同館の4カ年事業「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」の3年目。今回に先立ち、書写山円教寺(同市書写)でもチームラボの別作品の展示(12月3日まで)が始まっている。

 市立美術館の展示は五つのゾーンに分かれ、それぞれ壁やモニターに映像が投影される。壁には、作品ごとに質感の異なる和紙が貼られており、和紙に触れた途端に映像の動きに変化が生じる。

 前期展示で最初に来場者を出迎えるのは、モニターに映し出された軸物のような作品。回転し続ける藤の枝の塊をじっと眺めていると、その枝ぶりが漢字の「生」に見える瞬間がやってくるという。

 次のゾーンは壁に触れられる展示。初めは異なっていたリズムが互いに影響を受け、次第にそろっていくと感じる「引き込み現象」が鍵となっており、光る点の明滅や色相がそろい始める様子、鑑賞者が触れることでそれが変化し、散り散りになる様子が分かる。

 そのほか、ヒマワリやカキツバタなど四季の花々がぐんぐんと伸びては枯れていく壁、同一方向に回転する抽象的な書が、見る人の意識によって時計回りにも逆時計回りにも感じられる空間、絶え間なく動く無数の線描が人体を形作る映像も楽しめる。

 チームラボのメンバー、工藤岳さんは「鑑賞者と作品が相互に作用して生まれる没入感、作品と一体となる感覚を味わってほしい」と呼びかける。

 会場内は撮影可能(フラッシュは不可)。午前10時~午後5時。前期展示は10月9日までで、後期展示は同月21日~来年1月21日。原則月曜休館。一般1500円、高校・大学生1100円、小中学生700円。同館TEL079.222.2288

© 株式会社神戸新聞社