技能実習生の受け入れ進む JAグループ栃木「プラスアグリ」 コロナ対策緩和で拡大

イチゴの育苗作業に励む技能実習生のイスラさん=壬生町内

 JAグループ栃木が設立した、外国人技能実習生を受け入れ県内農家に送り出す監理団体「プラスアグリ協同組合」は本年度、10人以上を受け入れる。2020年度の設立後、新型コロナウイルスの影響で2年間実績がなかったが、22年3月の水際対策の緩和により、同年度初めて2人を受け入れた。1期生は県内のイチゴ農家で農作業に従事し、人手不足解消にも貢献しているといい、同組合は農家へのPRを強化していきたい考えだ。

 今月下旬。壬生町下稲葉のイチゴ農家梁島亮太(やなしまりょうた)さん(35)方のビニールハウスで、1期生でベトナム人の技能実習生タック・イスラさん(29)が、育苗作業を進めていた。

 日本のイチゴが好きだというイスラさんは「日本で働き、日本の文化も学びたい」と昨年5月に入国した。同組合を通じ同6月から梁島さん方で実習に励む。

 初年度は育苗から収穫までの作業に従事した。継続するための試験を経て2年目を迎え、収入は入国前の工場勤務時から3倍に増えた。「楽しいし、みんないい人。もっと働き続けたい」と笑顔を見せる。

 同組合は、農業の担い手確保に向けJA栃木中央会が中心となり設立した。県内農家の要望に応じ、現地機関を通じて受け入れた実習生を送り出し、実習中は実習生や農家のフォローも行う。本年度はこれまでに4人を受け入れ、秋、冬にかけて現時点で8人ほどの受け入れを予定している。

 梁島さんも今冬、2人を追加で受け入れる予定という。イチゴ農家は収穫期の人員確保が課題。昨年度、技能実習生を初めて受け入れた梁島さんは「任せられる仕事が増え、助かっている」と話す。

 同組合は農業に特化しているため、作業内容や繁忙期などについて実習前に具体的に説明でき、実習後のミスマッチも起こりにくいのが強みという。一方で同組合担当者は「コロナで事業が中断していたため、農家への周知が課題。事業を知ってもらい人手不足解消につながればいい」としている。

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