「呼吸」リズムや頻度が「記憶力」に影響!? 兵庫医科大研究グループがマウス実験で発見

兵庫医科大学=西宮市武庫川町

 兵庫医科大(兵庫県西宮市)の研究グループが27日、マウス実験で、呼吸のリズムや頻度が記憶力の強化や低下に影響することを発見したと発表した。呼吸が認知機能に重要な役割を果たすことが示されたといい、ストレス緩和への効果も期待される。

 同大医学部の中村望助教(52)らのグループは、呼吸のリズムを操作できるよう遺伝子を改変したマウスを利用して研究。正常なマウスと同じ実験を行い、記憶力の差を調べた。

 主な記憶実験は、白と黒の2種類の箱を設けてマウスを入れ、白い箱の中では音が鳴ると電気ショックが起きる仕組み。遺伝子改変マウスでは電気を流す瞬間に呼吸を止めたほか、呼吸のリズムを不規則にしたり頻度を減らしたりした。

 正常なマウスは、ショック体験後に再度白い箱に入り、音が鳴ると体を硬直させたが、呼吸を止めたマウスは音が鳴っても恐怖と結びつかず、動いたままだった。また、呼吸が不規則なマウスは白い箱に入っただけで体をすくませる過剰な反応を示した。頻度を減らしたマウスは黒い箱の中でも体を硬直させた。

 中村助教によると、呼吸のリズムや頻度が不適切だと、記憶が過剰に強化されたり、記憶力が低下したりする可能性があるという。「リラックスして呼吸を落ち着かせることで、記憶が正常に定着し、パフォーマンス向上が期待できる。将来的にはQOL(生活の質)向上に貢献する研究につなげたい」と話している。

 研究論文は同日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズの電子版に掲載された。(竜門和諒)

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