宮下青森県知事、核燃サイクル協開催を要請 政府のエネルギー政策確認へ 8月末で調整

核燃料サイクル協議会の開催を村瀬長官(右奥)に要請する宮下知事(左)=27日午前、東京都内

 宮下宗一郎知事は27日、経済産業省で村瀬佳史・資源エネルギー庁長官と面会し、核燃料サイクル政策を巡り知事と関係閣僚が意見を交わす「核燃料サイクル協議会」の開催を要請した。20年ぶりの知事交代を機に、サイクル政策に協力している青森県の現状を閣僚に直接伝え、政府の考えを確認する狙い。原子力立地地域の将来像を話し合うエネルギー共創・共生会議の設置も求める。関係者によると、8月末の開催で調整を進めている。

 面会は冒頭のみ公開。サイクル協の開催を要請した宮下知事は、協議会の中で、六ケ所村に一時保管されている高レベル放射性廃棄物の搬出期限の順守について確認すると説明。ほかに、原子力施設の安全性確保、防災対策、使用済み核燃料から取り出されるプルトニウムの利用、高レベル廃棄物の最終処分問題を協議したい考えを示した。「地域との共生」の観点から、原子力の人材確保、研究機関誘致の必要性にも触れた。

 村瀬長官は「原子力を安定的、継続的に利用していくためには、核燃料サイクルの推進は重要な政策課題。しっかり対応していく」と回答。松野博一官房長官は同日の記者会見で「知事の要請を受け、速やかな開催に向けて政府内で調整を進めたい」と述べた。

 面会後、宮下知事は報道各社の取材に、サイクル協開催の意義を「エネルギー自給率が低いわが国で、立地地域ができる協力は何か、見直す契機にしたい。ただ協力するだけではなく、互いの共生を考える第一歩とする」と説明した。エネルギー共創・共生会議については「立地地域を中心に全県の地域振興を図ることが必要」と設置の重要性を語った。

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核燃料サイクル協議会 木村守男元知事が核燃料サイクル事業に関する意見調整の場として国に求め、1997年9月に設置。サイクル政策上、県側が重要な節目と判断した場合に開催を要請し、官房長官や経済産業相、文部科学相などの関係閣僚と知事ら県幹部が協議する。木村県政で6回、三村申吾前知事時代に6回の計12回実施。前回は2020年10月、日本原燃・六ケ所再処理工場(六ケ所村)の安全審査合格と完成延期を受けて開催した。

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