アルプス席にも「銀傘」拡張 甲子園球場、24年の開場100周年を記念し新プロジェクト

銀傘の拡張が発表された阪神甲子園球場。内野席を覆う屋根をアルプススタンドにも新設する=2020年8月、西宮市甲子園町

 阪神電気鉄道(大阪市)は28日、甲子園球場(兵庫県西宮市)のシンボルで、内野席を覆う大屋根「銀傘(ぎんさん)」を一、三塁側アルプス席まで拡張する構想を発表した。アルプス席は全国高校野球選手権大会で各校の応援団が集う場所で、観戦時の熱中症などへの対策とする。着工は2025年大阪・関西万博後となる見通し。

 24年の同球場開場100周年記念事業の一環で、球場建設に携わった大林組に設計を委託した。春夏の全国高校野球やプロ野球の試合を続けながら、秋冬のオフシーズンに工事し、数年をかけて完成させる。

 甲子園球場は開業当初から「大鉄傘(だいてっさん)」と呼ばれた鉄製の大屋根を内野席に備えた。1931(昭和6)年にアルプス席に広げ、戦時中の金属供出で取り外された43(同18)年まで同席を覆った。戦後の51年に内野席の一部を覆う形で復活。2009年に現在の姿に架け替え、内野席両端まで広げた。

 暑さが増す近年は熱中症対策が課題で、夏の全国高校野球では救急搬送される多くが、アルプス席と球場の外周にいた人に集中する。外周はテントやミストシャワーを置いて、搬送者が大きく減ったという。

 大阪市内で会見した阪神電鉄の谷本修取締役は「再びアルプスまで覆い、平和の象徴として本来の姿に完全復活する。高校野球の聖地として、甲子園が進化を続けることで、高校野球文化を継承したい」と話した。(大島光貴)

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