【独自】カテーテル治療後に死亡相次ぐ神戸徳洲会病院 市が行政指導へ カルテに記載なし、実質一人で業務か

神戸徳洲会病院でカテーテル治療や検査を受けた患者が死亡するなどとした告発を巡り、3度目の立ち入り検査に入る神戸市職員ら=28日午前、神戸市垂水区上高丸1、神戸徳洲会病院

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で循環器内科の男性医師が携わったカテーテル治療の後、複数の患者が死亡したなどとする告発があった問題で、処置後に死亡した患者の電子カルテに必要な記載をしていなかったなどとして、神戸市は近く、同病院を行政指導する方針を固めた。

 市は28日、医療法に基づき同病院に対する3度目の立ち入り検査を行った。市職員のほか、循環器内科が専門の大学教授も同行した。市によると、男性医師が循環器内科のカテーテル室の業務を実質的に1人で担っていた可能性があり、市は安全管理体制に問題があったとみている。

 これまでの立ち入りでは、この男性医師がカテーテル治療を行い、死亡した患者3人の電子カルテで記載漏れが判明した。治療の経過や死因を患者の家族に説明した記録などがなかった。市は28日、男性医師らに聞き取り調査も行ったという。

 厚生労働省の指針はカルテは常に最新の情報を保つよう定める。市はカルテの管理が指針に抵触すると判断。安全管理体制の問題点もまとめ、8月中に行政指導する。また、今回の問題を受けて中止しているカテーテル治療について、指導後に安全が確認されるまでは再開しないよう病院に要請した。

 同病院では男性医師が赴任した今年1月以降、カテーテル治療や検査で少なくとも5人が死亡し、複数の患者が容体が悪化したと訴える告発文書が6月末に市に寄せられ、市が立ち入り検査に踏み切った。

 同病院は今月14日に「医療安全調査委員会」を開き、男性医師が携わったカテーテル治療が適切だったかを検証。処置に何らかの問題があった疑いがあるとして、国の医療事故調査制度に基づき外部の専門家を交えて調査すると決めた。(金 旻革)

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