東西名画響き合う 県立美術館で富士美術館展が開幕

ルノワールの「赤い服の女」などの秀作を鑑賞する来場者=石川県立美術館

 北國新聞創刊130年記念の「東京富士美術館所蔵 東西近代絵画名品展」(北國新聞社、石川県立美術館主催)は28日、金沢市の県立美術館で始まり、19世紀後半から20世紀前半の世界の美術史を彩ってきた画家の秀作59点が公開された。開幕を待ちわびた大勢の来場者は、時代を超えて響き合う西洋と日本の名画の世界に浸った。

 東京富士美術館が収蔵する約3万点から厳選し、西洋絵画31点、日本画と版画が各14点展示された。

 洋画は写実主義から印象派、野獣派(フォービズム)まで、西洋美術史の流れに沿って陳列。ルノワールは代表作の「赤い服の女」と「読書する女」の2点、モネは「睡蓮(すいれん)」など3点が並び、印象派の両巨匠の作品について、会社員源口克子さん(57)=加賀市=は「実物はやはり違う。心が癒やされ、何回も見たくなる」と感動した様子で話した。

 日本画の展示室では、近代日本画壇を牽引(けんいん)した橋本雅邦(がほう)の「山水図」、竹内栖鳳(せいほう)の「獅子」の六曲一双屏風(びょうぶ)が重厚な存在感を放った。横山大観の故郷・茨城から訪れた小学校教諭の鬼澤健さん(36)は大観の「旭日」に見入り、「圧倒された。大観の魅力を金沢で深く知ってもらう機会になってほしい」と期待した。

 浮世絵の伝統と西洋の遠近法を取り入れた新版画では、英国のダイアナ元皇太子妃が気に入って執務室に飾った吉田博の「瀬戸内海集 光る海」も並んだ。

 開場式では、砂塚隆広北國新聞社社長のあいさつに続き、五木田聡東京富士美術館長が「人気の高い作品を並べることができた。西洋と日本で同じ時代にアートに取り組んだ作家の名品を楽しんでほしい」と呼び掛けた。馳浩知事と村山卓金沢市長の祝辞を、戒田由香里県県民文化スポーツ部次長と東利裕同市文化スポーツ局長が代読した。

 会期は8月27日まで(会期中無休)で、開場時間は午前9時半~午後6時。入場料は一般1300円、中高生900円、小学生700円。音声ガイドの機材は1台600円で貸し出す。

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