食と癒しをテーマに 巨大リゾート施設の全貌に迫る! 広島・廿日市に計画

“世界遺産の島”・宮島(広島・廿日市市)の来島者数は、ことしに入り2月・3月・6月と過去最高を記録。上半期の合計もおよそ218万人となり、過去3番目となっています。

日本を代表する観光名所がある廿日市市ですが、ある課題も…

廿日市市 松本太郎 市長
「観光消費額が、観光客数の割に伸びない。やはり1人当たりの単価を上げていかなきゃならない」

廿日市市の1人当たりの観光消費額は、広島市が1万9942円なのに対して、わずか4002円と大きく引き離されています。これは、宿泊する観光客が少ないことが要因です。

そんな廿日市市で新たな観光施設の計画が明らかになりました。

食と癒しをテーマにした巨大!商業リゾート施設の全貌に迫ります

中根夕希 キャスター
「廿日市市が新たに開発を進める現場です。あちらに見えますのが、西広島バイパスです。あそこから上の山陽道まで造成工事が行われます。この広大な敷地。6年後、新たな観光スポットとなっているのでしょうか」

22日の記者会見で、「平良丘陵開発土地区画整理事業」の構想が発表されました。観光・交流エリアおよそ15ヘクタールに、三重県で商業リゾート施設「VISON(ビソン)」などを運営するアクアイグニス(本社・東京)が進出します。

アクアイグニス 立花哲也 社長
「三重での経験を生かして、さらに広島・廿日市の企業の力をお借りして一緒になって。広島・廿日市をテーマにわれわれが取り組んできたものをさらにブラッシュアップした地方創生のモデルになるような施設を作りたいと考えております」

アクアイグニスが手掛ける商業リゾート施設VISONは、2021年4月に三重県多気町にオープン。敷地面積は35万坪。食をテーマにおよそ70店舗が出店し、地域食材を生かしたミシュランシェフ監修のレストランやスイーツなどが好評で、ホテルや温浴施設も備えています。オープンして2年―。コロナ禍の影響がありながらも、年間350万人の観光客が訪れているそうです。

そして今回、廿日市市に計画されるのは、VISONをさらにブラッシュアップした施設で、宿泊施設、温浴施設、飲食・物販・体験型施設など8つのエリアから構成されています。

宿泊客室数はホテルとヴィラ合わせておよそ200室。駐車台数はおよそ2000台を計画しています。

地元企業を中心に29社が、すでに進出に関心を示しているそうです。

今回の取り組みを新機能都市開発事業として位置づける廿日市市の 松本太郎 市長に話を聞きました。

廿日市市 松本太郎 市長
「今、わたしたちが考えているのは、全国からたくさん観光客が来てくださいますけれども、そういった人たちがこの廿日市を拠点にして広島県内はもちろん、その周辺に足を運びたくなるような施設になりたい。つまりはその瀬戸内であったり、山陰観光のハブになりたいと思っています」

中根夕希 キャスター
「イメージとしてはどういう場所なんですか? 1つの街になるのか、ある種、道の駅みたいな形なのか、ショッピングモールみたいな形なのか?

廿日市市 松本太郎 市長
「今、おっしゃっている全てを兼ね備えていると思っています。いろんな形(交通手段)でアプローチしやすい、非常に立地がいい場所でしてお買い物もできますし、食もあります。あらゆるものがそろっているという。1つの街かもしれませんね」

中根夕希 キャスター
「かなり巨大な施設になりそうですね。廿日市の象徴の1つにもなりそうですけど、地域・廿日市としてはどういう効果が生まれそうですか?」

廿日市市 松本太郎 市長
「年間にだいたい観光客が400万人増えるだろうと思っています。400万人に増えると、観光消費額はだいたい200億円増えるだろうと。その200億円のマーケットに地元の企業に参画していただく。そのことによって地元へ波及する経済効果を最大化させていきたいと思ってます」

現在、廿日市市がかかえる課題の1つに人口減少があります。廿日市市は、転入が転出を上回る「転入超過」ですが、今後の人口減は避けられないのが現状です。

廿日市市は、今回、新たに生みだされる観光消費額200億円は、定住人口のおよそ1万5000人の消費と同等な効果があると試算しています。

もう1つの課題が、観光客数と観光の消費額です。宮島を訪れる観光客数にも年間で波があるといいます。

廿日市市 松本太郎 市長
「繁忙期と閑散期があって、年末年始であったり、あと6月・1月は閑散期です」

― 年末年始は増えそうなイメージありますが?
「意外と少ないんです。繁忙期はゴールデンウィークの5月、お盆の8月、紅葉の11月が多い。バランスが悪いわけです。平準化ができていない」

そして、宮島に宿泊する人は年間およそ46万人ほどで、観光客全体の1割ほどにとどまります。1人当たりの観光消費額およそ4000円を上げていくには、やはり宿泊・連泊がカギとなるようです。

廿日市市 松本太郎 市長
― 市長も実際、三重県の施設に行かれたことは?
「行きました」

― どんな印象でした?
「すごい。これね、見なければわからない。口ではなかなか説明しずらい。やっぱり一言で言えば、もう1日や2日では堪能しきれない。1週間いてもまだ時間が足りないくらい」

そんな商業施設の誕生に地元の地権者の反応は…

平良丘陵開発土地区画整理組合 竹内康治 理事長
「地権者と平良の住民、平良のみなさまが、要は生活環境の改善につながっていくと信じています。その結果によって廿日市市全体の活性化につながると」

さまざまな課題解決の糸口となるのか? 廿日市市に誕生する商業リゾート施設は2027年、建築工事の着工、2029年の開業を目標に今後、設計コンセプトの策定やテナント誘致などの検討がなされます。

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