明治から令和へペダルこぐ 自転車大競走再現

117年前の大会と同様に金沢市の尾山神社前をスタートする参加者=29日午前6時50分

  ●金沢出発、加賀へ能登へ

 北國新聞創刊130年記念「自転車大競走」は29日、金沢市の尾山神社を出発点に行われ、参加者15人がゴールの加賀、七尾を目指した。1906(明治39)年に北國新聞社が主催した北陸初の自転車ロードレースを再現する企画で、参加者は朝日が注ぐ中、「ツール・ド・のと400」(同実行委、北國新聞社主催)の源流となった大会に思いをはせ、力強くペダルをこいだ。

  ●一青妙さん参加

 石川県自転車競技連盟のメンバーを中心に10~60代が明治の走りを再現した。117年前の大会にならい、東西2コースが設けられ、内灘―宝達志水―羽咋―七尾をたどる東コース(片道69.4キロ)に5人、白山―小松―加賀を巡る西コース(片道49.7キロ)には10人が出走した。

 ツール・ド・のとに参加経験があり、本紙で「人生、妙なり」を連載するエッセイストで俳優の一青(ひとと)妙(たえ)さんも西コースに挑んだ。

 午前6時50分に尾山神社前を出発。東コースでは能登の潮風を感じ、西コースでは白山の山並みを見つめながら疾走した。ツール・ド・のとの常連でもあるサイクリストたちは快調に進み、東コースは午前9時50分に七尾駅に、西コースは午前10時に大聖寺駅に到着した。

 北國新聞社が主催した自転車大競走は明治39年10月14日に行われた。娯楽の乏しい時代、北陸初の自転車レースは人々の話題を集め、当時の本紙によると、沿道は黒山の人だかりができるほどの盛況となった。世界最高峰のレース「ツール・ド・フランス」が初めて開催されてから、わずか3年後のことで、時代の最先端をいくスポーツ大会は、「北陸未曾有(みぞう)の壮挙」と伝えられた。

 大会の歴史をつなぎ、1989(平成元)年に、能登半島を一周するツール・ド・のとが始まった。今年は35回目となり、9月16~18日に行われる。

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