ドイツ拠点ダンサーの関さん 古里・雲仙富津地区で海外舞踏家向けスクール開校目指す

「富津の素晴らしい自然や人との触れ合いを海外ダンサーにも知ってほしい」と話す関さん=雲仙市小浜町

 雲仙市小浜町富津地区出身でドイツを中心に活動するダンサー、関美奈子さん(62)が、古里で海外舞踏家向けのダンススクール拠点の一つを構える構想を抱いている。現在、計画を準備するため帰省し「美しい富津の自然や地域との触れ合いを通した国際交流ができれば」と語った。
 関さんは、富津地区出身で市の偉人として知られる「関3兄弟」の一人で、児童心理学者だった関寛之(1890~1962年)の孫。旧小浜町立富津小を卒業後、名古屋に引っ越した。ダンサーを目指して85年に上京。その後、ドイツに渡り、87年、ベルリンでダンスグループを創設し、振付師や演出家としても活動している。被爆75年をモチーフとした創作ダンス「ゼロ」など、ヨーロッパや北南米で約60作品を発表している。
 ダンス教師を育成するための「関メソッドスクール」を今年2月、ベルリンで開校。来年秋、授業の一環で同スクールの生徒たちを母校である旧富津小体育館に招き、1カ月にわたり指導する計画を進めている。雲仙市は地域外の人材が地域づくりに関わる「関係人口」の創出に力を入れており、関さんは富津地区の豊かな自然を感じながら住民と交流し、創作意欲を高めることを期待している。
 関さんはこの構想を具体化するため帰省。チリのダンサー兼芸術監督、クラウディオ・アンソレナさん(49)が、関さんをダンサーや講師としてチリに招こうと、12日、富津地区の実家を訪ねた。チリ国営テレビ局「メガビジョン」が、この様子を番組で紹介するため取材に訪れた。
 関さんは旧富津小体育館で、即興で踊る「コンテンポラリーダンス」を披露。「ここでダンスを教えられたら光栄」。祖父が作詞した校歌のレリーフを前に、温めてきた夢を語った。

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