水辺に潜む危険 専門家「膝出る場所で遊んで」 今季、青森県内でも死亡事故

米軍三沢基地の小川原湖ビーチで25日、不明となった母親を捜索する消防など。母親は26日に遺体で見つかった=三沢市三沢平畑
指定区域での遊泳や、子どもから目を離さないよう呼びかける看板=青森市の合浦公園海水浴場

 夏休みに入り、海や川などに出かける機会が増えるこの時期、全国的に水辺での死亡事故が相次いでいる。青森県内では24日、深浦町の海岸で男性が遊泳中に死亡。25日には米軍三沢基地(三沢市)の小川原湖畔にあるビーチで、男児と母親が溺れて、亡くなった。専門家は「例年夏の初めからお盆ごろにかけて、気の緩みや過信などで、事故が集中しやすい」と注意を呼びかけている。

 県警地域課によると、県内の近年の水難事故の発生件数は、2020年が22件(うち死者・行方不明者9人)、21年が27件(同16人)、22年が19件(同7人)で推移。今年は18日現在のまとめで9件(同3人)だが、その後も事故が続いている。場所別では海の事故がほとんどで、次いで河川、湖沼池の順に多い。

 青森海上保安部によると、県内で過去5年間、マリンレジャー中に事故に遭ったのは60人。このうち、釣りの事故が31人と約半数。遊泳中が13人、スタンドアップパドルボート(SUP)が5人、サーフィンが3人などとなっている。また、昨年発生した遊泳中の事故は全て遊泳禁止区域での発生だった。

 水難学会会長の斎藤秀俊・長岡技術科学大教授は、海や川など水辺での事故を防ぐには▽水深が膝より下の場所で遊ぶ▽子ども連れの場合は、大人が手の届く範囲で一緒に遊ぶ▽ライフジャケットを着用する-の3点を守るべきと指摘する。

 海での事故の一因とされる「離岸流」は、海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する強い流れのことで、いつ、どんな場所でも発生する恐れがある。斎藤氏は「子どもも大人も、足が着く場所なら流される危険は低い」と指摘。万が一、流されたり、誤って海中に転落したりした際には「無理に泳ごうとせず、浮いた状態で助けを待つのがいい」と話した。

 川や湖でも注意は必要だ。斎藤氏によると、岸から少し離れただけで、水深が急に深くなる場所があるほか、背の低い子どもの目線から水面を見ると、実際の深さよりも浅いと錯覚してしまうことがしばしばあるという。

 斎藤氏は「水の事故は遊び始めに起こりやすい。子ども連れは特に、海や川で遊ぶ前に、水面から膝が出る安全な場所を確認し、ルールを守って楽しんでほしい」と話した。

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