江戸時代の山車人形「武田信玄」の修復完了/八戸三社大祭行列に参加

修復作業が終了し、お披露目された山車人形「武田信玄」=29日午後、八戸市の龗神社
神社関係者らが山車人形「武田信玄」の組み立て方や、衣装の取り扱いを学んだ講習会=29日午後、八戸市の龗神社

 八戸三社大祭山車祭り行事保存会(小笠原修会長)などが2019年度から取り組んできた江戸時代末期制作の山車人形「武田信玄」の修復作業が、今月完了した。同保存会は29日、所蔵する青森県八戸市の龗(おがみ)神社の神楽殿で関係者に披露した。8月1日の三社大祭「お通り」と3日の「お還(かえ)り」で同神社の行列に参加する。

 「武田信玄」は江戸時代の祭礼の姿を示す貴重な史料などとして、もう一つの山車人形「太公望」と共に03年に八戸市有形民俗文化財に指定された。しかし、陣羽織の赤いウール地が破れたり袖の糸が外れるなど衣装が激しく劣化。本体の脚や腕、装飾品の扇やかぶとなども各所に欠損があった。

 このため、同保存会は19~21年度、国庫補助により衣装を修復した。22年度にも人形本体を修復。さらに同神社が本年度、装飾品の修復を実施し、今月28日に作業が完了した。

 同神社の坂本守正宮司が「(関係者に)感謝申し上げる。たくさんの人に見ていただきたい」とあいさつ。衣装を担当した女子美術大学デザイン・工芸学科の大﨑綾子教授と、本体を担当した古文化財保存修復研究所(埼玉県)の長井まみ役員が修復前の状況や修復場所について解説した。

 披露に先立ち、修復した衣装の取り扱いなどについての講習会も同神社で開かれた。市教育委員会の担当者らが協力し山車人形の組み立てや衣装の着せ方を実践。参加者に「作業は常に2人一組で」などと説明した。

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