山形大は県教育センターなどと連携し、新たな教員研修のモデルを構築した。県内6校に研修に特化したスペース「学びカフェ」を設け、教員同士の学びや交流を深める拠点と位置づける。山形大や教育センターはオンラインで、教員が抱える小さな困り事から専門性の高い内容までをサポートする。
同大大学院教育実践研究科の江間史明教授によると、日本は、教員の勤務時間が国際比較で1.5倍であるのに対し、研修時間が3分の1。学びたくても学べない状態で、多忙感を助長する一因になっているという。
研修は、初任者に課せられたものから、専門性を高める内容まで幅広い。ただ、各種研修が参加者個人の学びにとどまっているとの指摘がある。学校現場の課題は複雑化し、教員個々ではなく、組織力で関わる必要があるという。
学びカフェは、職員室でも会議室でもなく、教員同士が気軽に相談したり、情報にアクセスしたりできる空間とする。大型ディスプレーやカメラ、マイクを設置し、山形大や教育センター、学びカフェ同士をオンラインでつなぐ。教員が日常的に、気軽に、自らの学びのために利用できる。
江間教授は、教員が他の教員の力を引き上げることも大切で、そうした「学びを広げる力」はこれまで、十分に評価されなかったと説明する。評価指標の一つとなるよう、新たな基準づくりも進めるとしている。
今回の取り組みは文部科学省の「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」に採択され、2千万円の補助を受けた。新たな教員研修の在り方として、本県から全国展開を目指す。