高橋さん(山形)米ウルトラマラソン充実9位 「世界一過酷」挑戦する大切さ伝えたい

猛暑の中を走る高橋和之さん=米カリフォルニア州(高橋さん提供)

 世界一過酷とも評されるウルトラマラソン「バッドウオーター135」(7月4~6日・米カリフォルニア州)で、トレイルランナーの高橋和之さん(44)=山形市、山形北高職員=が出場100人中、9位に入った。最高気温50度近くの環境下で、48時間以内に135マイル(約217キロ)を走破するレース。高橋さんは28時間28分33秒でゴールし「全力を出し切れた」と充実感を口にした。

 デスバレー国立公園から砂漠の中の道路を走り、ホイットニー山の中腹まで登るコース。暑さや距離だけではなく、累積標高差約4千メートルのアップダウンも過酷と呼ばれる理由だ。本大会には、書類選考を経て100人が世界から参加。高橋さんは国内最高峰の大会「ウルトラトレイル・マウントフジ」40代の部で1位になるなどの実績が評価され、日本からは高橋さんを含め2人が出場した。

 高橋さんのスタートは午後10時、気温は44度だった。サポーターの知人が車で伴走し、噴霧器で水をかけてもらいながら走った。朝になると気温が上昇し、アスファルトからの照り返しも加わった。体力や精神面で限界を感じる場面もあった。それでも1人、また1人と抜いた。最後は得意な上りを一気に駆け抜けた。完走率は89%、もう1人の日本人は3位だった。

 「順位や結果だけではなく、チャレンジすることの大切さを伝えたかった」と高橋さん。大会前の直近3カ月間で最上川の源流から河口まで約220キロ、土日には峠道を60~80キロなど累計2千キロ以上の走り込みを重ねたという。

 8月末には、世界のトップ選手が集う、欧州アルプス最高峰モンブランの山麓を舞台とした「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン」に出場する。同一年の両レース挑戦者は少ないといい「一歩を踏み出すことで見えてくる世界がある」と次戦を見据えた。

9位でフィニッシュする高橋さん(左から2人目)=米カリフォルニア州(高橋さん提供)

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