土用の丑(うし)の日の30日、連日の猛暑を乗り切ろうと、各地でウナギのかば焼きを求める人の姿が目立った。千葉県香取市佐原地区の専門店には開店前から観光客らが列をつくり、ウナギを焼く香ばしい匂いが江戸情緒が残る街並みに漂った。
市中心部を流れる小野川沿いにあるウナギ料理店「割烹(かっぽう)やま川」は、通常のおよそ5倍に当たる約120食分を用意。早朝から仕込みを始め、蒸し暑い調理場で肉厚なウナギを丹念に焼き上げていった。開店と同時に観光客が次々と来店し、問い合わせの電話も相次いだ。
店主の山川隆志さん(62)によると、ウナギの仕入れ値は、稚魚(シラスウナギ)の不漁やロシアのウクライナ侵攻による飼料や燃料の高騰で価格が上昇。同店はうな重とうな丼を3800円(税込み)で提供した。
列の先頭に並んだ八街市の中川節生さん(75)は「大好物のウナギを食べて元気になった」と満足そう。妻のちかよさん(75)は「身が肉厚で、ふっくらしていておいしかった。佐原まで食べに来たかいがあった」と笑顔だった。
夏のスタミナ食として古くから愛されてきたウナギ。山川さんは「暑い日が続いているので、土用の丑の日に限らずウナギを食べて英気を養って」と話した。