芥川賞作家・三田さんが宇都宮で講演 小説の奥深さをセリフから解説

せりふの奥深さを講演する三田さん

 【宇都宮】宇都宮アート&スポーツ専門学校の特別公開講座が29日、大寛1丁目の同校で開かれた。芥川賞作家の三田誠広(みたまさひろ)さんが「小説の魅力はセリフに尽きる」と題して講演し、同校生徒や高校生、社会人や文芸好きのシニア世代など約50人が耳を傾けた。

 同校文芸創作科の授業の一環。三田さんは高校在学中に「Mの世界」で文壇デビューし、早稲田大第一文学部卒業後、1977年「僕って何」で芥川賞を受賞した。「いちご同盟」「光と陰の紫式部」など著書多数。武蔵野大学名誉教授。

 三田さんは夏目漱石(なつめそうせき)の「三四郎」の一節を朗読しながら「三四郎の中の『迷える子-わかって?』が決めぜりふ。男女間のやりとりの微妙な会話が表現されています」などと小説の奥深さを分かりやすく説明した。

 同学科、1年古橋和希(ふるはしかずき)さん(24)は「せりふの中に、書き手の思いを含ませるのが大切だと改めて分かり、ためになりました」と話した。

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