宇都宮の“ゾクッ”とするスポット紹介 オリオンお化け屋敷、樋爪氏の墓、首切坂…

10回目を迎えた「オリオンお化け屋敷」

 夏の到来とともに、恒例の「オリオン通りお化け屋敷」がオリオンACぷらざで始まりました。今回は街なかのゾクッとして涼しくなるスポットをお届けします。

 真っ赤な舌を出したちょうちんが揺れ、のぼりがはためく。ちょっぴり怖そうな入り口の装飾に、親子連れが足を止めた。

 ■仕掛けは10以上

 10回目となる「オリオン通りお化け屋敷」。オリオン通り商店会が主催し、毎年、内容を変えて開催してきた。「今回は『生首の里』をテーマにしています」と同会事務局の松田法子(まつだのりこ)さん。全国でお化け屋敷を手がける丸山工芸社(佐野市)が演出する。

 受付に行くとお札を渡された。「所定の場所に置いてきてくださいね。仕掛けは10以上あります」。お経が流れる中、松田さんから説明を受けていると、先に入場した子どもの泣き叫ぶ声が響き渡った。えっ、そんなに怖いの!? 「さあ、どうぞ」。松田さんに促され、戸惑いながら暗闇に足を踏み入れた。

 この先は入場してのお楽しみ。ちなみに体験した子どもたちの声をネタバレなしで紹介するので参考に。材木町、西小5年、風間武仁(かざまたけひと)君(10)は「毎回来ているけれど、一番怖い。今までが90点で、今回は99点」。近くに住む小学5年、女子(11)は「怖くなくて楽しかった。最後の仕掛けでびっくりした」。

「オリオン通りお化け屋敷」8月27日まで。午前11時〜午後7時(予定)。小学生100円、中学生以上300円。駄菓子販売や射的の「子どもの遊び場」も開催。(問)同会事務局028.638.4030

 ■藤原一族の悲話

 旧奥州街道沿いの上河原にある「樋爪(ひづめ)氏の墓」(大通り5丁目、市指定文化財)には悲話が伝わる。墓は三峰山神社の社の中に二つあり、眠るのは季衡(すえひら)と子の経衡(つねひら)をはじめ諸説ある。

 市教委の「宇都宮の民話」によると、「源頼朝(みなもとのよりとも)が奥州藤原(ふじわら)氏を追討する際、宇都宮二荒山神社に祈願した。無事、平定した御礼に、藤原一族の季衡と経衡を奴隷として引き渡した。季衡は逃げ帰ろうとして、上河原で捕らわれ殺害された。首は田川の対岸の博労町に飛んだともいわれる。また墓の周囲に植えられた南天(ナンテン)の葉を取ると盲目になる」-。訪ねると確かにナンテンがあった。が、葉に触れる勇気はなかった。

 ■首切坂の由来は

 旧一条中の北にある通称「首切坂」も名前からして怖い。その由来は「宇都宮の民話」に、「牢屋(ろうや)があり、東側の池(堀)のそばに処刑場があった。処刑された罪人の首を池で洗ったことから」とある。近隣の子どもたちにも怖い話として伝わっていたようだ。

 ただ、かつて近くに住んでいた神野安伸(かんのやすのぶ)さん(62)は「江戸時代に牢屋はありましたが、処刑が行われていたことは確認できていないんです」と教えてくれた。イメージが先行したのかもしれない。

 実は、今回のためにゾクッとするスポットを探したところ、なぜか「首」に関係するものばかりが集まった。ただの偶然か、それとも…。

樋爪氏の墓がある三峰山神社
「首切坂」へと続く道。緩やかな上り坂だ

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