「兄貴」とつかんだ新十両 大の里、先輩・高橋に励まされ

  ●26日の金沢場所で注目

 大相撲金沢場所(北國新聞社主催、日本相撲協会協力)は26日、金沢市総合体育館で行われる。郷土力士で注目されるのは、デビューから所要2場所で関取の座をつかんだ大の里(津幡町出身、二所ノ関部屋)だ。十両昇進の支えとなったのは中学、高校、大学をともに過ごし、「兄貴」と慕う1年先輩の幕下・高橋だった。

 東幕下3枚目で名古屋場所に臨んだ大の里は、初日から2連勝した後に2連敗し、星が五分に並んだ。場所前は「やれる」という自負もあっただけに、本人もショックは大きく、父中村知幸さんは「あそこまで感情を表に出す泰輝(大の里の本名)は久しぶりだった」と振り返る。

 そんな大の里を夕食に連れ出し、励ましていたのが高橋だった。高橋自身も西幕下4枚目で、新十両昇進を意識して場所に臨んでいた。

 「ちょっとやばいっす。どうしましょう」。普段は弱音を吐けない大の里が「優太先輩」と慕う高橋に本音を漏らした。夜、宿舎への帰り道を自転車で走りながら高橋が独り言のように言った。「大丈夫や。一緒に上がろうや」

  ●中学から切磋琢磨

 福島県出身の高橋は、大の里とともに新潟県の能生中に相撲留学し、海洋高、日体大を経て二所ノ関部屋に入門。一緒に過ごした時間は長く、「本当の兄弟のような関係」(知幸さん)だ。

  ●「最高の相手」

 名古屋場所14日目、まずは大の里が十両英乃海を下し、勝ち越しを決めると、翌日の千秋楽に高橋が同じく英乃海を破り、ともに新十両昇進を確実にした。

 7月26日、2人は二所ノ関部屋の愛知宿舎でともに昇進会見に臨んだ。大の里が「ずっと一緒にいた存在で、稽古でもよく胸を出してもらった」と感謝すると、高橋は「何でも力をぶつけあえる最高の相手。切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と優しいまなざしを向けた。

 師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は「今場所の優勝はどっちだ、となるように頑張ってほしい」と2人の飛躍に期待を込めた。

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