京都府の南山城地域での戦争体験を聞く集いが30日、京田辺市興戸の市社会福祉センターであった。元天理大教授の赤塚康雄さん(88)が戦中の子どもの教育や生活について自身の経験とともに説明した。
赤塚さんは近現代教育史が専門。当時は木津川市の上狛国民学校(現・上狛小)に通っていた。
府南部の子どもたちが「少国民」として、教員から暴力を受けたと回想する証言を挙げた上で当時の国民学校令に言及した。「基礎的錬成を為(な)す」の文言について「とにかく鍛えろということで、軍隊のまねをして平気でたたいたりできたのでは」と推測した。
当時、自身が受けた修身や理科のテスト用紙も持参し「神武天皇祭とはどんな日か」「サツマイモが戦争に重要なのはなぜか」など戦中を感じさせる問いを紹介した。
戦後は新しい教育に混乱したといい、「(日本列島の成り立ちを)国史では国産み神話で習ったのに、新しい教科書では石器時代から始まるとある。どっちが古いのかと思い、なかなか理解できなかった。それほど国民学校の教育は強烈でした」と振り返った。
集いは、8月8~13日に市中央図書館で開かれる「平和のための戦争展」に合わせて実行委員会が主催し、約20人が聴講した。