環境に優しい農業学ぶ 茨城県立水戸農高 関東農政局が出前講座

もみ殻のバイオ炭を畑にまく県立水戸農業高農業科の生徒ら=那珂市東木倉

農林水産省関東農政局県拠点は1日、茨城県那珂市東木倉の県立水戸農業高で、環境負荷の低減を目指す「みどりの食料システム戦略(みどり戦略)」をテーマとする出前講座を初めて開いた。環境に優しく、持続可能な農業を生徒に学んでもらうのが狙いだ。

出前講座には同高農業科の2年生約30人が参加。専門家による講義と実習指導を受け、理解を深めた。

同省農産局農業環境対策課の奥村啓史氏が講話。地球温暖化が農業に及ぼす深刻な影響を指摘しながら、温室効果ガスの排出削減や吸収量をクレジットとして認定する国の制度「J-クレジット」、土壌に炭素を多く貯蔵できる「バイオ炭」について紹介し、これらの活用によって「二酸化炭素(CO2)の排出量を減らせる」と強調した。

生徒は八つの小さな畑に、それぞれ濃度を変えたもみ殻のバイオ炭を入れて、土作りに取り組んだ。バイオ炭を用いた農業を行う生産者グループ「北総クルベジファーマーズ」(千葉)代表の喜屋武誠司氏が指導した。

生徒は今後、月内に常陸秋そばの種を植え、生育状況や収穫量を観察していく。

受講した堤拓也さんは「農家の所得にどう結び付くかは疑問が残るが、(バイオ炭が)環境に良いのが分かった」と話した。

農林水産省は食料・農林水産業の生産力向上と持続性を両立するため、2021年5月に「みどり戦略」を策定し、全国で取り組みを推進している。

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