長崎の中学3年生・宮原さん 英検1級一発合格! 独自勉強法で難関突破

英検1級に合格した宮原さんと英語教諭の角家理恵子教頭(右)、ALTのネイサン・ストークスさん=長崎市矢上町、東長崎中

 大学上級レベルの「実用英語技能検定1級合格」を目標に掲げ、一発合格を果たした中学生がいる。長崎市立東長崎中3年の宮原華怜さん(14)。その秘訣は生成人工知能(AI)の活用や本番を想定した面接対策など独自の勉強法にあった。
 宮原さんは小学4年の時に英検初挑戦。4級からスタートした。弁論大会などにも参加し、英語で自分の思いを伝えられることがうれしくなり、向上心が強まった。昨年7月、3回目のチャレンジで準1級をクリアした時はここまでか、という思いがあった。その訳は「『純ジャパ』に一発合格は無理」という世間の評判。「純ジャパ」とは外国にルーツを持たず長期の海外経験などもない人を指す。でも「達成できることを証明したい」との思いが湧いてきたという。
 「2023年6月に英検1級に合格」-。明確な目標を机の前の壁に貼ったのが昨年12月。英単語や問題集など20種以上のテキストをこなす日々が始まった。1級は社会性の高い出題内容が特徴で、語彙力はもちろん政治、経済、科学技術など幅広い知識が必須。読解力、リスニング、ライティング、会話といった総合力が求められる。
 合格者の体験談や動画を参考に、テレビでは積極的にニュースや特集番組を見て時事問題に触れ、単語はCD音声を聞いて耳から覚えるようにした。その音声をまねして発声し、続けて日本語訳を言う。頭がパンクしそうになりながら、ひたすら繰り返した。
 受験2カ月前からは毎日、テーマに沿って200~240の英単語を使い意見をまとめるトレーニングを導入。自分の回答と生成人工知能(AI)の回答を比べ、新しい視点に「そうきたか!」と思わされることもあった。そんなことを続けるうち、気付けばハリー・ポッターの原書が読めるようになっていた。
 英語を母語とする面接官と日本人面接官による二次試験の対策には、徹底したシミュレーションが奏功した。まずは目の前から見られる“圧”に慣れるため、トランプ前米大統領や米実業家イーロン・マスク氏らの写真に向かって話すイメージトレーニングを考案。東長崎中の英語教諭や外国語指導助手(ALT)にもリハーサルをしてもらい、発音の細かい部分やジェスチャー、ゆっくり話すことなどをアドバイスしてもらった。
 本番では苦手だった語彙の問題はすらすら解けた。自宅ではCD音声を倍速で聞いていたため、リスニングなどの問題文が遅く聞こえた。最後まで楽しかったという宮原さん。自分のやり方を信じて合格をつかみ、壁に貼っていた目標に大きく「済」と記した。「英検は英語の勉強だと思っていたけど、社会の出来事について自分の見解を述べる力がついた」。
 ただ、合格に甘んじることはない。「英語のレベルを保ちたいし、日々社会の出来事は変わっていくから」今後も年に1度は英検1級を受け続けるという。将来の夢は環境や貧困問題、教育格差などから多くの人を救える仕事をすること。挑戦する勇気を持ち、宮原さんは努力を続けるつもりだ。


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