茨城・神栖に特別支援学校 27年ごろ 県が新設方針

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県が神栖市内に特別支援学校を新設する方針を固めたことが1日、関係者への取材で分かった。場所は市南東部の波崎地区を念頭に、2027年ごろの完成を目指す。鹿行地域の特別支援学校は現在、鹿島特別支援学校(鹿嶋市沼尾)の1校のみ。児童生徒によっては通学の負担が大きいなどとして、市内の保護者らが約1万人の署名を県に提出、県は新設を含めた対応を検討していた。

県内の特別支援学校は県立23、国立1、日立市立1の計25校ある。一方で、鹿嶋、潮来、神栖、行方、鉾田5市の鹿行地域では、鹿島特別支援学校の1校に限られる。

県教委特別支援教育課によると、5月1日現在、鹿島特別支援学校は356人が在籍し、つくば特別支援学校に次ぐ県内2番目の規模。児童生徒の増加により、普通教室が13室不足したため、昨年度増築した。神栖市からは、5市の中で最も多い約130人が通学し、遠距離の波崎地区から通う児童生徒もいる。

県内特別支援学校への通学について、県教委は片道80分以内を努力目標に設定する。同課は神栖市内から同校への所要時間は最大80分としている。

同市の保護者らでつくる「神栖市に特別支援学校を求める会」は5月、大井川和彦知事と森作宜民県教育長に対し、署名9939人分と要望書を提出した。要望書では「通学に2時間を必要とするケースがある」と指摘。同会の中谷みずほ代表は「児童生徒の身体的負担を軽減するためにも、新設すべき」と訴えた。

神栖市議会は昨年9月、市内への新設を求める意見書を全会一致で可決。意見書は、波崎地区からの通学時間が80分を超え、下校後のデイサービス利用が難しくなるなどと訴えた。

同市などで新設を求める声が広がる中、大井川知事は5月の定例記者会見で「対策を検討している。新設も選択肢から排除するつもりはない」と話し、新たに設置する可能性にも言及していた。

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